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zoom RSS 【これから論文を書く若者のために 酒井聡樹著 共立出版】

  作成日時 : 2004/09/27 22:56   >>

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初めて論文を書く理系の人向けの本です。類書がたくさんありますが、その中でもお勧めの一冊です。

著者は生態学が専門です。ですから、取り上げられる題材は生態学からのものが主です。しかし、他の理系分野、例えば物理や化学、工学を専門とされる方にも参考になる点が多数あるのではないかと思います。というのも、科学論文にはIntroduction, Materials and Methods, Results, Discussionという明確な構造がどの分野の論文にも共通してありますので、それらに何を書くべきかということが科学論文を書き上げる上で重要なことだと思いますし、この本はその点に重点が置かれているからです。

例えば、Introductionでは何をやるのか、どうしてやるのかを明確にするのが使命であり、その説得力を持たせるために"イントロ折り紙"なる構成方法を紹介しています。私は、この本を読む前に論文を書いた経験がありますが、Introductionは苦労した覚えがあります。この本を読んだ後にも論文を書きましたが、このやり方を参考にしました。完全にこの方法に従ったというわけではありませんが、この方法を意識することで何を書くかが明確になり、どのような文章にしたほうが説得力があるかを考えながら書けたと思います(上司に結構直されましたが)。

また、Discussionの書き方も参考になりました。論文を書くというのは自分の主張を小さくしていく作業であるという一文が実に重みがあります。どうしてもこんなこともあんなことも主張したいという気持ちがあり、自分で書いた文章もあんなことやこんなことを主張している傾向があると思います。そんな自分を棚に上げて、他人の論文を読む時は、そこまで言っちゃうのは論文の分量を増やすために仕方なくやってるんじゃないのなんて思っています(自分でもやったことがあるので、そういうところはすぐわかります)。なかなか難しいですが、気を使いたいところですね。

この本の特色と思える点は、英文校閲、論文投稿時の添え状、雑誌に投稿した後の改訂、論文の審査過程についても述べられている点です。論文は書くのが目的ではなく、雑誌に投稿して掲載してもらうためのものですから、掲載までの流れがわかるのは、初めて論文を投稿される人にとっては役に立つのではないでしょうか(私の場合は、先輩から手取り足取り教えていただきましたが)。

科学研究を職業とするものにとって、権威のある雑誌に論文を載せることこそが仕事です。いくら学会で発表しても、査読の無い商業誌に書いても、査読のある雑誌に掲載された論文が無ければ仕事のできる科学者ではありません。仕事のできる科学者を目指そうという学部生の方にお勧めの一冊。研究の進め方の本ではないので、そちらについて知りたい方は別の本を。

なんて薦めてみましたが、本を読んだだけでは論文は書けるようになりません。実際に書いてみることが大事ですね。

論文を書くことに関係した私が持っている他の本は、論文の教室 戸田山和久著 NHKブックス、論文の書き方マニュアル 花井等、若松篤 有斐閣アルマ、理系のための英語ライティング上達法 倉島保美著 講談社ブルーバックス、洋書ですがAcademic Writing for Graduated Students John M. Swales and Christine B. Feak著 The University of Michigan Pressなど。どれも、特色があり、面白いです。

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