三余亭

アクセスカウンタ

zoom RSS 【一億三千万人のための小説教室  高橋源一郎著  岩波新書】

<<   作成日時 : 2004/10/12 23:50   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

NHKの「ようこそ先輩」という番組での経験を基に、著者の考える小説の書き方を解説する本です。

著者の本は何冊か読んでいて、古くは『さようならギャングたち』『僕がシマウマ語をしゃべった頃』『ペンギン村に陽は落ちて』など、最近は『あ・だ・る・と』といった物を読みました。どれも癖のある本です。僕は好きですが、好みは分かれるところでしょう。

そんな著者の考える小説とは、どんなものか、この本『少し長いまえがき』の中から引用してみます。
  
小説というものは、たとえば、広大な平原にぽつんと浮かぶ小さな集落から抜け出す少年、のようなものではないでしょうか。そこがどれほど居心地のいい場所であっても(中略)からだの奥底からつき動かされるような衝動にかられる。それは、ここではないどこか、へ行きたいという衝動です。

  
いまそこにある小説は、わたしたち人間の限界を描いています。しかし、これから書かれる新しい小説は、その限界の向こうにいる人間を描くでしょう。

  
この作品は、この作者の前に、この作者のためだけに続いているたった一本の道の果てに現れた小説だからです。

  
すべての小説は(広く、「文学」は)、「笑っている」「皆んな」の方が違っているのではないか、という、孤独な疑いの中から生まれてくるものであることを。


今居る場所、今見ているもの、今考えていることなどが『本当』ではない、『本当』のことはどこか別のところ、別の見方、別の考え方にあるのではないか、ということを表現するために書かれるのが小説である、ということでしょうか。すごい切実な感じがします。

でも、後半の実践偏では、小説と遊ぶということがメインになってきます。面白いなと思う、世界が別のように見えているんだろうなと思う、世界は(おもしろい)小説で出来ていると考える、といったやり方で小説との遊び方が具体的に示されます。取り上げられている題材は、小説というよりはノンフィクションだったりします。(話はちょっとずれますが、この新書で引用されている『AV女優  永沢光雄著  文春文庫』は、なかなかいい本です。引用されている部分はこの本の中でも一番ドギツイ部分ですので、慣れない方は他の部分を読んでみてください。)ですから、小説と遊ぶというよりも『言葉』と遊ぶと表現した方がわかりやすいかもしれません。

実際、この本で使われている「小説」という言葉は、普通の小説とは異なる意味のようです。最後の『ぐっと短いあとがき』のなかで、一般に小説だと思われている小説の周りにもっと広い意味での「小説」が存在していると書かれています。その広い意味での「小説」こそが、学び、読み、自分のものとすべき言葉だそうです。ここで書いていることも、そんな「小説」として存在するようになれば、ちょっと楽しいですね。

『ぐっと短いあとがき』のなかで、著者は小説の書き方として
  
自分のことを書きなさい、ただし、ほんの少しだけ、楽しいウソをついて

と書いています。blog書いてる自分自身が楽しい「ウソ」ついているでしょうか。だとしたら、このblogも小説です。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【一億三千万人のための小説教室  高橋源一郎著  岩波新書】 三余亭/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる