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zoom RSS 【確率的発想法 数学を日常に活かす  小島寛之著  NHKブックス】

<<   作成日時 : 2005/03/12 08:50   >>

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本の帯には、「予想的中!天気予報からリスク論まで、先行きを見通す推論のテクニック」とありました。この内容に当てはまるのは前半の「T 日常の確率」までだと思います。後半の「U 確率を社会に活かす」ではリスクと不確実性は違うものとして紹介されています(P112)ので、素直に考えればリスク論では無いのではないでしょうか。書名や帯からは、日常生活で確率が問題となる場面での考え方の紹介だろうと思いましたが、あとがきを読むと著者の述べたかったことは後半部分なのだと思います。

前半部分の内容は、後半部分を理解しやすくするためと思いましたが、リスクや環境問題についても解説されています。天気予報は15ページから18ページで主に触れられていますが、確率が日常の意思決定にかかわることの導入部です。天気予報を的中させるための解説はありません。

後半部分は「加法性を持たない確率」が紹介され、一気に話が難しくなります。「キャパシティ」や「マルチプル・プライヤー(複数の信念)」の話で株式市場での薄商いを説明したり、「コモン・ノレッジ」を導入して株の大暴落を説明したり、ロールズの正義論に数理的方法でアプローチする可能性を述べたりと、一般向けとしてはかなり意欲的な印象です。難しい話ですが、かなり噛み砕いて説明されているので、確率に親しみがあれば理解できると思います(この本で確率の初歩からベイズ推定まで軽くふれただけで、後半部分を理解するのは少しきついと思います)。内容自体は、今まで知らなかった方法による人間行動の説明で、大変面白く読みました。

残念なのは、「確率的発想法 数学を日常に活かす」という書名や帯と、書かれている内容の差です。確率を「日常に活かす(確率を日常生活の判断に使用する)」ための一般向けの類書は他にもあるので、この書名では類書の内容と同様に思えてしまいます。実際、私も最初に書店でこの本を見たときは以前に読んだことのある類書と同様の内容と思い、見向きもしませんでした。Amazonでカスタマーレヴューを読んで、そこで初めて今まで読んだことのない内容の本だと知り購入しました。本を売るためには書名も大事だと思います。類書との差が明確になり、内容を誤解できないように反映した書名にしていただきたいものです。これは出版社・編集者の責任でしょう。

とはいえ、人間行動を説明するために数学を使っている研究を一般向けに紹介する良い本だと思います。

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