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zoom RSS あなたの物語があるかも?【診療室にきた赤ずきん 物語療法の世界  大平健著 新潮文庫】

<<   作成日時 : 2005/10/29 00:21   >>

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書店で”あなたの物語があるかも”と書かれたPOPが目について、買ってしまいました。あれもなかなか効果があるものですね。さて、この本は精神科医である著者が童話や昔話といった物語を診療の一部に使用し、それについて一般向けに書いた本です。実際の患者さんのエピソードと物語の類似点・共通点を紹介して、物語を通して患者さんが自分の状況を把握し良くなっていく様子が紹介されていきます。類似性のあるものだけを紹介しているのかもしれませんし、解釈の問題もあるのでしょうが、物語と患者さんの状況の類似性・共通性は確かにあるようです

例えば、家庭内暴力から立ち直った青年のエピソードでは、一寸法師の話をラジオで聞いてそれをきっかけに立ち直ったことが紹介されています。青年は婚外子で、”どうして僕は妾の子なのと尋ねると、両親を傷つけてしまうような気がしていたのかもしれない(p162)”、”自分には、自分と自分の両親を護ってゆこう(p162) ”という気持ちがあったということでした。著者は、一寸法師も自分の背丈が一寸しかないことで”両親に「どうして僕の背は一寸なの」と尋ねてみたかったことでしょう。しかし、一寸法師は尋ねませんでした。(中略)尋ねれば両親を傷つけるだけのことだと一寸法師も承知していたのではないでしょうか。(p163)”と解釈し、青年と一寸法師の境遇の共通性を示唆します。また、旅に出て化け物を退治し、打ち出の小槌を手に入れた一寸法師は両親をも救ったと解釈することで、青年の”両親を護る”という気持ちとの類似性も示唆します。そして彼が家庭内暴力から立ち直ったのは、一寸法師の話をラジオで聞くことで”彼自身しばらく忘れていた使命を思い出させてくれた(p164)”ためと解釈しています。最後には、”不利な条件を背負っている子どもは、そういう自分を誕生させた親に護られていることをやめ、自分を誕生させたという不利な条件を背負っている親を護ろうとすることがあるのだ(p165)”とまとめています。いい話ですね。この話はお勧めです。

素直に納得できるほど単純な関係のものばかりではありませんが、患者さんの抱える状況と物語の類似性があること、そしてそれが治療に役立つ場合があることがわかります。そんな堅苦しいことは別として、患者・人間の物語として、面白く読めました。

書店のPOPには、”あなたの物語があるかも”と書かれていました。そこに引っかかっちゃった自分は、何かに助けを求めたのかもしれない、どこか病んでいるのかもしれないと、読み終わって気になる自分です。

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診療室にきた赤ずきん
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