三余亭

アクセスカウンタ

zoom RSS 呼吸器外しの件を考えるにあたって参考にしたいブログやサイト

<<   作成日時 : 2006/04/02 18:29   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

物事を考えるときには、具体的事例から抽象的に考え、そして具体的事例に戻す、というのが普通なのではないか、そして判断を大きく間違えることは無いのではないかと思います。ということで、呼吸器外しの件も、実際の医療現場でどのようなことがどのような患者に行われているのか具体的事例を知り、そして(その事例と関係するわけではないのですが)抽象的に考え、その結果をふまえ今回の呼吸器外しの何が問題であるのか考える、というのが良いのではないのかと思うわけです。そこで、ご紹介したいブログやサイトがあります。

なお、以降の議論の対象は癌の末期患者と致します。その他の疾患については、私の経験不足により治療行為の中止が正しいのか否か、判断できない状況が多いと思われるからです。(経験のある癌のターミナルケアにおいても、現場では絶対に正しいと言い切れるかどうか迷う場合も数多くありますので、経験不足の分野の話など怖くてできません。)

まずは、具体的事例ということで、ブログの紹介を致します。モモくん、ありがと。という、癌で亡くなるお母様を看取った娘さんのブログがありました。癌の脊椎への転移、下肢麻痺、酸素投与、胸水貯留、疼痛コントロール、朦朧とする意識、最後の瞬間など、癌が進行しお亡くなりになる過程と、ご家族の心の動きが記録されています。このブログで出てくる東札幌病院は緩和ケアで有名な病院です。お母様は緩和ケア病棟には移られなかったようですが、安らかに人生を終えられたと思います。

呼吸器をつけてもおかしくない場面があると思います。酸素飽和度が下がったところです。一般的に癌の緩和ケアでは人工呼吸器や心臓マッサージが行われることはありません。これは私の独断ではありません。例えば、「ターミナルケア マニュアル 第3版 淀川キリスト教病院 ホスピス編 最新医学社」の11ページに
末期癌の状態で次第に衰弱し、心停止の状態になった時には、心マッサージなどの蘇生術は施さないのが原則である。
家族と予め蘇生術について、十分に話し合っておくことが重要である。
例えば「とてもつらいことなのですが、日にちの問題になりつつあります。患者さんに負担をかけることはしたくないので、心臓マッサージや人工呼吸などは控えたいのですが、それでいいでしょうか」というように、感情を「共有(share)」しながら説明する必要がある。

と書かれていることからも、わかっていただけるかと思います。

人工呼吸器が悪者のように受け取られることは本意ではありません。人工呼吸器は手術後状態が安定しなかったり、呼吸状態が急に悪くなったときには必須であることは強調したいと思います。これが無ければ助かる命も助けられません。癌の末期でつけることは上記のように普通はありませんが、余命が長期間期待できる場合はつけることも十分ありえます。

次に、細かな議論をされているサイトをご紹介したいと思います。
医療現場の諸問題
という、哲学者である清水哲郎氏のサイトです。こちらのサイトでは、安楽死と尊厳ある死など、今回の富山の一件と関連のある議論がされています。同氏の著書である「医療現場に臨む哲学 勁草書房」に最新の情報が収められていると書かれておりますので、興味のある方は著書にあたられるのが良いと思います。著者の清水氏は東札幌病院で倫理的問題についての講演も定期的にされていたようです。

最後に、今回の呼吸器外しの件を、ひとまず癌の患者さんに限定することの正当性となる記事を(呼吸器をつけて2・3ヶ月経過した方です)引用したいと思います。これを読むと、富山・射水市民病院の件では、患者さんの少なくとも1名は末期癌だったようです。
「外科部長恨んでない」家族が胸中語る…延命中止(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060331i207.htm)

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院で患者7人が延命措置の中止で死亡した問題で、富山県警に任意で事情聴取を受けた患者の家族が初めて、読売新聞の取材に応じ、治療責任者の外科部長(50)について「いい先生。家族は恨んでいない」と話した。
(中略)
 長男によると父親は、30歳代でがんの手術を受けた。胃を摘出するなどしたが、大腸など全身に転移して死亡した。亡くなるまでに4回手術を受け、このうち3回が新湊市民病院(現・射水市民病院)で、最後の執刀医が外科部長だった。手術室内で説明を聞きながら立ち会った。

 手術後しばらくしてから、人工呼吸器をつけた延命治療を続けることになった。長男は「人工呼吸器の取り外しは、それから2か月半から3か月たってからだった。(延命措置の中止について)手術後のやりとりは話せない」と硬い表情で語った。
(中略)

 ◆退職撤回願を外科部長が提出◆

 外科部長は31日、自宅に退職の撤回願を出したなどとするコメントを張り出した。

 それによると、病院長から職務命令(自宅待機)が出たが、その内容や手続きの妥当性には疑問がある。自分が立ち会った6例の患者は、救命治療のため人工呼吸器を装着したが、救命が不可能で家族の希望もあったことから取り外した。延命治療のために人工呼吸器を装着した患者はいない、としている。
(2006年3月31日14時53分 読売新聞)


話の本筋とは関係ありませんが、新聞記者の使う”延命治療”と、外科部長のいう”延命治療”が違うもののようですので、注意して読む必要がある記事です。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
共同通信のアンケート結果の報道は「指針必要7割・法制化不要7割」が正しい、と思う。
前にこちらや、こちらや、こちらで射水市民病院での呼吸器外しの件で書きました。今回は、今朝の共同通信による呼吸器外しの件に関してのアンケート結果の報道に関して書こうと思います。記事の中に数字がたくさんありましたので、それを詳しく検討してみました。 ...続きを見る
三余亭
2006/04/13 19:39
富山・射水市民病院での呼吸器外し  一律な方針はいかがなものか
富山・射水市民病院での呼吸器はずしの件の捜査方針が報道されました。 ...続きを見る
三余亭
2006/04/24 20:35
道立羽幌病院での呼吸器外しは不起訴のようで、射水市民病院の呼吸器外しはどうなる?
射水市民病院での呼吸器外しが最近問題になりましたが、道立羽幌病院でも呼吸器外しがあり、医師が書類送検されていました。毎日新聞の記事によれば不起訴になるようです。人工呼吸器外し:死亡との関係薄く、医師不起訴か 北海道 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060604k0000m040131000c.html ...続きを見る
三余亭
2006/06/05 00:15
後期高齢者医療制度:終末期の「抑制」重要 厚労省本音
後期高齢者医療制度についていろいろと話題になっていますが、終末期医療や延命治療の観点から考えてみたいと思います。毎日新聞の記事がきっかけです。 ...続きを見る
三余亭
2008/04/24 21:36
射水市民病院の呼吸器外しが不起訴になった件
ちょっと出遅れた感があるのですが、射水市民病院の呼吸器外しの件が不起訴となりました。 ...続きを見る
三余亭
2009/12/24 02:21

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
呼吸器外しの件を考えるにあたって参考にしたいブログやサイト 三余亭/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる