三余亭

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zoom RSS 【不在の騎士 イタロ・カルヴィーノ著 米川良夫訳 河出文庫】

<<   作成日時 : 2006/04/08 10:58   >>

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1989年に国書刊行会から出ていたものを、河出書房新社が昨年12月に文庫化したものです。10年以上前に読んだのですが、懐かしくて買っちゃいました。

中に人間が入っていない空っぽの鎧が騎士として活躍しているのだけれど、騎士の資格に疑問が出され、自分が騎士であることが正当であることを証明するため、周りのものと自分の区別ができずに家鴨や蛙と一緒になってしまうグルドゥルーをお供に旅に出る小説です。最後には、自分の正統性が証明されなかったと誤解して鎧だけ残して消えてしまいます。でも、何が消えたのでしょう?難しい問題です。

訳文は読みやすく、ストーリーは楽しい小説です。

訳者あとがきによると、カルヴィーノは「盲目的な《不在》の状態のなかで《存在》することを目指す原初的な人間(p216)」を描いたそうなのですが、そんな堅苦しいことは考えずに楽しく読めます。

帯には「奇想天外な寓意小説」とありました。確かにいろんな意味がほのめかされているようにも読めますが、それは個人で好きなように読んで構わないと思うわけです。というわけで、勝手にこの小説に意味をつけると、

1.心とは何かという問いに対して、周囲の人間との会話する能力である、という見解を示した小説。

2.自分の存在の基礎を究極の何かに求めることのむなしさを表現した小説。

3.肉体と離れた精神のはかなさを表現した小説。

4.地位にふさわしい者が必ずしもその地位につけるわけではないという皮肉。

5.重要な決断をするときは慌ててはいけないという教訓。

いろいろあるでしょうが、素直に考えれば「存在するということだって、学びとるものなんですよ・・・(p210)」ということなのでしょう。

しかし何だかんだ難しいことは考えず、この本で展開される世界に引き込まれるのが一番なのではないでしょうか。

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