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zoom RSS 山形大論文ねつ造:女性医師、教授の指示に従う

<<   作成日時 : 2006/07/15 21:12   >>

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前にも書いた山形大学での論文捏造の詳細がわかってきました。
山形大論文ねつ造:女性医師、教授の指示に従う

 山形大学医学部の麻酔科学分野の研究チームによる論文データねつ造疑惑で、同学部内部調査委員会は14日、筆頭筆者で20代の女性医師が、小谷直樹教授(49)の指示に従ってねつ造していたとの調査結果を公表した。
(中略)
 調査委によると、患者82人を対象とし、手術前後で血液中の「血清アミラーゼ」という酵素の値を調べたとしているが、実際にはデータがそろわなかった57人分の値をねつ造していた。論文は、仮説を立てた後にデータを収集して実証したことになっているが、実際には手術を終えた患者のデータをまとめ直しただけのものだった。また、患者を調査するにあたり、事前に学部内の倫理委員会の承認を得たと偽っていた。

(以下略)
【大久保渉】

毎日新聞 2006年7月14日 21時22分


この記事のとおりだとしますと、25人のデータしかなく57人分を捏造していた、retrospective study(手術を終えた患者のデータをまとめ直しただけのもの)なのにprospective study(仮説を立てた後にデータを収集して実証したことになっている)としていた、倫理委員会の承認を摂ったと偽った、の3点で問題があります。

データの捏造の不正はわかりやすいですが、retrospective studyとprospective studyの違いはわかりにくいかもしれません。

一般向けにわかりやすく書かれており無料で手に入る資料としてがんの補完代替医療ガイドブックが良いと思います。その資料編5ページに書かれている、後ろ向きコホート研究や症例対照研究をretrospective studyとして考えていただいてよいと思います。対して、ガイドブックで紹介されている、ランダム化比較試験、非ランダム化比較試験、前向きコホート試験がprospective studyに相当します。

何故、この違いが重要なのか。それは、retrospective studyでは今回のように過去の時点でのデータがそろわないことがあること、特に治療の検討をする場合ではその治療を選択するのに何らかの偏向(バイアス)が系統誤差としてかかっている可能性があり、それを除去できないこと、などから信頼性がprospective studyに比較して劣るとされているからです。

prospective studyとして行うなら、比較したいデータを前もってそろえておくことが可能で、治療法の選択もコンピューターでランダムに行うことでバイアスを偶然誤差として処理できるので、信頼性があると考えられているわけです。でも、retrospective studyであれば、結果を割り引いて考えなくてはなりません。そこを偽ったとなれば、たとえ57人分の捏造が無くても、論文の結果の解釈が違ってきます。

また、倫理委員会の承認も最近では重要な意味を持つようになってきています。臨床医学系の一流紙では臨床試験の事前登録が無いものは論文を受理しない方向です。詳しくは、UMINのサイトが良いと思います。ある施設で臨床試験を行う場合はその施設倫理委員会の承認が必要である場合がほとんどで、それを偽ったとなると、かなり問題です。

個人的には、若い先生の論文なのだから、無理して前向き試験で倫理委員会の承認もあるなどと捏造しないで、地方会の発表にちょっと症例を加えた程度の報告で良いのではなかったかと思います。

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