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zoom RSS 【これから論文を書く若者のために 大改訂増補版 酒井聡樹著 共立出版】

<<   作成日時 : 2006/09/06 15:15   >>

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この本の初版を持っていて、特にイントロダクションの書き方は役に立ちました。イントロダクションについては、著者は初版でも大改訂増補版でも以下のように述べられています。
イントロダクションは、論文の目的・意義を述べるためにあるものである。研究の意義を認めてもらえるかどうか、その論文に興味を持ってもらえるかどうかは、イントロダクションの良し悪しにかかっているといってよい。(初版 p58、改訂版 p62)
著者の解説するイントロダクションの書き方は初版でも大変役に立ったのですが、著者はある経験をすることで改訂版を出そうと思ったそうです。
改訂版を出そうと思ったきっかけは、2005年10月14日に、東北大学の一年生向けに「レポート作成法」という講義をしたことである。この講義で私は、「なぜ、ベガルタ仙台は強いのか:勝利を呼ぶ牛タン定食仮説の検証」のイントロダクション(初版 p60)を、「良い例」として学生に読ませた。ところが学生の反応は、「身体能力の強さの秘密を調べてどうするのか、その意義がわからない」であった。これは衝撃であった。(改訂版 pH)
イントロダクションは研究の意義を認めてもらうためにあると考える著者にとって、良い例としてあげたイントロダクションにも関わらず、研究の意義が学生に伝わらなかったというのは大変なショックであったことでしょう。

多分、その経験により加えられたと思うのですが、3.5 研究の意義を認めてもらうには(p75)という節が改訂版にあります。ベガルタ仙台を例に出し、「なぜ、ベガルタ仙台は強いのか:勝利を呼ぶ牛タン定食仮説の検証」という論文を「ベガルタ仙台研究」「日本代表研究」「サッカー研究」という仮の雑誌に投稿する場合に、どのように書けば研究の意義を認めてもらえるか、例が出ています。この節が加わることで、初版よりもイントロダクションの書き方がわかりやすくなったと思います。

また、イントロダクションが研究の意義を認めてもらうためにあるということから、現在進行中の研究についても役に立つそうです。改訂版で新たに加わった、研究を始める前にという章では次のように書かれています。
これから始めようとしている研究に、あるいは現在進行中の研究に論文としての価値があるのかを問うためにすればどうすればよいのか。それは、イントロダクションを書いてみることである。(p4)
と、進行中の研究の学術的意義を確認するためにイントロダクションを書くことが有用であることが書かれています。研究の意義に迷ったらイントロダクションを書いてみるというのは良い方法かもしれません。

また、考察の書き方も、初版よりも詳しく書かれています。初版では、考察で書くべきこととして、結果の章で提示したデータに基づいて、こういうことを明らかにしたという主張を展開する、イントロダクションで提起した問題の解決に向けてどう貢献したのかを述べる、考察の最後(あるいは結論の章)で論文の結論を述べる、の3項目が挙げられ、それぞれについて解説されていました。改訂版では、それらに加えて、その問題を解決したことでもたらされる、より一般的な学術的意義を述べる、今後の発展を述べる、の2項目が新たに付け加えられています。より充実した考察が書けるように改訂されています。

他の部分も改訂されており、例えば投稿の仕方も郵便での投稿の解説を少なくしてインターネットを通しての投稿の仕方を中心に解説されていたりと、時代に合わせた改訂がされています。

前著も大変ためになる本でしたが、改訂版はそれ以上に大変ためになると思います。

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