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zoom RSS 病気で摘出の腎臓移植 宇和島徳洲会、過去に11件

<<   作成日時 : 2006/11/04 12:25   >>

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腎臓の売買があった宇和島徳州会で、病気で摘出した腎臓が結局問題が無いということになったら、本人の体内に戻さず、別の方に移植していたようです。

朝日新聞から、
病気で摘出の腎臓移植 宇和島徳洲会、過去に11件
2006年11月03日01時49分

 愛媛県宇和島市で起きた臓器売買事件の舞台になった宇和島徳洲会病院は2日、過去に実施した生体腎移植の中で、病気によって摘出した患者の腎臓を別の患者に移植したケースが計11件あった、とする調査結果を発表した。こうした移植は安全性に疑問があるうえ、同病院が移植の可否を検討する倫理委員会も置いていなかったことから、日本移植学会の倫理指針に明白に違反する。専門家からは「医療行為として問題が多い」と疑問の声が出ている。
(以下略)


本日の読売新聞では、
摘出2病院、移植は知らず…病気腎「同意書提出なし」

 臓器売買事件の舞台になった宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で病気のため摘出した腎臓が別の患者に移植された問題で、腎臓の摘出が実施された岡山県内の2病院が3日、読売新聞の取材に対し、移植に使われることを知らず、患者からの同意書も提出されていないことを明らかにした。(以下略)


私の狭い知識では、ある疾患にかかった臓器を移植することが無いわけではありません。こちらに解説のあるドミノ肝移植です。

ですから、疾患に罹患した臓器を移植することは、緊急避難的に止むを得ない医療として成り立つ場合があるとは思います。

しかし、今回は少し事情が違います。移植された患者さんは、人工透析を続けることに何か問題があったのかどうか、ここがさっぱりわかりません。緊急避難的に移植が必要だったのかどうか?

ということは差し置いても、緊急避難的色彩の強い医療ですから、患者さんにはそのことをよく説明する必要があると思います。普通の移植とは違うリスクがあるわけです。その点に関して、色々知りたいことがあります。まずは、腎臓を移植される患者さんへの説明内容です。
1.提供される腎臓のリスク(例えば、癌なら再発・転移する可能性)を説明されていたかどうか。
2.腎臓移植した場合としない場合の予後を説明されていたかどうか。

次に知りたいのは、腎臓を摘出しなくてはいけなかったとされる患者さんへの説明内容です。
1.腎臓を摘出しなくてはいけない患者さんがその腎臓が使えるならば戻す方法もあるということを説明されていたかどうか。
2.腎臓を戻した場合と摘出したままの場合の利益と不利益をきちんと説明されていたかどうか(例えば、腎臓を戻すと癌なら再発の可能性が高まるかどうか。腎臓一つで過ごすことで将来病気になった場合の治療方法の選択に影響を受けないかどうか。)。

以上の点で、問題が無かったとしても、腎臓移植を受ける患者さんの主治医でもある医師が、腎臓を提供する患者さんの治療に介入するというのは非常に問題があると思います。というか、この一点があることで、前述の患者さんへの説明がきちんとされていても問題が残ると思います。

昔、和田移植が問題になりました。Wikipediaの和田移植に関連する部分の引用ですが、
ドナーが小樽市内の病院から札幌医大へ搬送された直後、麻酔科の助手から筋弛緩剤を借り、それを注射し、それに抗議した麻酔医を蘇生の現場から追い出した。さらにこの麻酔医は移植後の拒絶反応を和らげるため「ソルコーテフ」という薬を10筒も(通常は1、2 筒)大量投与したことも目撃している。この一連の証言から、胸部外科医師団が溺水患者に対して必ずしも適切な処置を施していた訳ではないことが明らかになった。
ドナーとレシピエントの治療を同じ医師が行うことの問題は、ここに良く現れていると思います。胸部外科医が溺水患者に適切なことを行っていたとしても、疑惑が持たれたでしょう。ドナーとレシピエントの主治医が同じ場合、このようにドナーの治療をきちんとしたかどうかという疑問が生じると思います。

今回の宇和島徳州会の問題では、腎臓移植したいがために腎臓を摘出される患者は不適切な術前診断になってはいなかったかどうか、腎臓を摘出された患者は不必要な手術や必要以上に大きな侵襲を受けてはいないかどうか、を知りたいと思います。これは、ドナーとレシピエントの治療を同じ医師が行うことで生じる疑念です。

移植医療はどうしてもドナーが必要な医療であり、ドナーの安全が確保されて成り立つ医療です。ドナーの方の治療もきちんと行われたということをドナーの御家族にも納得していただくため、脳死判定には移植医は関与しないシステムになっています。和田移植のような疑念をもたれないために移植医が作り上げた信頼の置けるシステムを全く無視した今回の移植は、患者の(特にドナーとなった方の)安全を脅かす医療であると非難されても、現時点では仕方のないことだと私は思います。

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三余亭
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三余亭
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