三余亭

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zoom RSS ゲフィチニブとドセタキセルの比較試験についての医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録

<<   作成日時 : 2007/04/26 00:47   >>

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前に触れたイレッサ(一般名gefitinib)とタキソテール(一般名Docetaxel)の比較試験についての 平成18年度第2回医薬品等安全対策部会安全対策調査会の議事録が公開されていました。

読みますと、試験は非劣性試験で行われていて、イレッサのタキソテールに対する非劣性を証明できなかったようです。議事録に記録されている、試験結果の解釈についての議論は参考になります。

重要だと思う発言をいくつか。
○國頭参考人 私は後では言ってはいけないらしいので、ここで申し上げます。スタディ自体に関して、私は参加者ですので最初の設定を知っています。確かイレッサが14カ月で、ドセタキセルが12カ月と見込んで、非劣性を証明しようとしました。ただ、これはデザインからして先ほど吉田先生が言われたように、そもそもドセタキセル群になっているのは、プロトコール終了後、医師がある程度正しく選んで当たりそうな患者さんに、後治療としてイレッサを使っていますので、ドセタキセルと、その後医師が選んだイレッサと、それとイレッサの比較ですから、その意味で勝ち目は初めからなかった。アンダーパワードトライアル(underpowered trial)であったことはまず間違いない。設定が甘かっただろうと思います。
とは言っても、後治療まで規定するのは難しいのではないかと思います。
○松本座長 では、そのようにさせていただきます。次に有効性に関してい
ろいろと御意見をいただきましたが、この点について何か御意見をいただけますか。これまでの御意見を参考にさせていただきますが、特に投与初期にドセタキセル群が優れているということが示唆されたわけですけれども、このことからいろいろ御意見をいただきました。大半がそうだったと思いますが、非小細胞肺癌の2次治療においてドセタキセルに優先してゲフィチニブを投与することについては、どのように考えたらよろしいでしょうか。
○堀内参考人 一般的にトータルとして言えば、そのとおりだと思いますが、変異のある患者は優先して使ったほうが副作用も少ないし、よろしいのではないかと思います。その辺をこれから区別した議論をしたほうがいいと思います。
○松本座長 その辺も含めて御意見がなかったものですから、ポイントとして今後のことをどうするかということでお尋ねしました。そういうことを含めて御意見がございますか。
○堀内参考人 ですから私の意見は、ミューテーションしている患者はかなり効くケースが多いだろうと思われますので、その場合には早い時期から使ったほうが、かえっていいのではないかという気がします。ですから、一般的に言えばドセタキセルで結構だと思いますが、変異がある場合にはそれを使う。ただ、耐性の問題がありますので今後の問題だと思いますけれども、そのほうが治療としては有効であろうと思います。
○松本座長 臨床の先生から出ている点で先ほど一度申し上げましたが、非小細胞肺癌の2次治療において、ドセタキセルに優先してゲフィチニブを投与することに関し、一般的には推奨されないと言ってよろしいかどうか。臨床の先生から何か御意見をいただけませんか。
○吉田参考人 推奨されないというふうに結論することもできなくて、私が先ほど申し上げたように推奨する根拠がないのは事実です。だけど推奨されないとやってしまうと根拠があるように思うのです。推奨しないという根拠もないのです。そこのところは大事だと思います。
○松本座長 そうですね。先ほど堀内先生が言われました。
○國頭参考人 試験における「新しい治療」がイレッサです。新しい治療が有意に負けているというところまで試験を継続することは、おそらく臨床試験としては許されない。勝てなかったところでおしまいであって、引き分けだったらチャンピオンの勝ちというのがルールですから、この場合は、あくまでも全体として見れば推奨されないということになってしまうと私は思い
ます。ただし、かくかくしかじかと、この試験からもまだ出てくるかもしれませんが、この試験以外の情報からして、その一般論が当てはまらない患者さんについてはということだろうと思います。だけど現実問題として、ここに来られる患者さんは男性であるか女性であるか見れば大体分かりますし、年齢も分かりますし、タバコを吸うかどうかというのは聞けば分かりますし、EGFR変異があるのかどうかは検査すれば分かりますし、実際に分かる情報を持っている患者さんですから、全部込み込みでどうだということを言っても、それは臨床的なインパクトは非常に薄いと言えると思います。
○吉田参考人 普通の化学療法同士の比較の結果でしたら、國頭参考人の言うとおりですが、先ほどから申し上げているように、セカンドライン(注:後治療)のところが非常にクロスオーバーしていて、要するにそれすらも言えない非常に混沌とした状況にあるので、そういう形で軽々に結論できるかどうか分からないということで、その根拠がないと申し上げたわけです。薄いということです。
○國頭参考人 うちの院長に反抗してよくないのでしょうけど、ただ、私はこの試験に欠点があったことはよく知っていましたけれども、この試験に入ってくれと自分の患者さんにお願いしました。参加した以上はそのプライマリーな結論は尊重すべきだろうと思います。ただし、途中の今からでも付け加わる情報によって、プライマリーな結論、つまりアンセレクテッドなポピュレーションに対してという結論の価値が、大幅に減殺されているだろうと思います。実際の臨床現場でいろいろな情報によって選択はするであろうというのは、そのとおりだろうと思います。
○堀内参考人 まだ解析が十分ではないということは言えるのではないでしょうか。
○國頭参考人 いや、患者さんと面談してセカンドラインを選ぼうというときに、全体としてドセタキセルの方が一般的だよという前振りをした上で、だけどもこういうのがあるから、あなたの場合はどうこうという追加の説明はするだろうと思います。全体として見ればドセタキセルだろう、とは申し上げることになるのではないかと思います。
○松本座長 それは、医療関係者にも情報として提供する必要があると考えてよろしいですか。
○國頭参考人 そのために、この試験をやったのだろうと思いますので。
イレッサが効くといわれるEGFR変異の有り無しで対象を分けていませんでしたから、結果の解釈が難しくなってきます。例えれば、風邪の犬と猫をごちゃごちゃに混ぜて、猫の風邪によく効く治療薬の効き目を調べたようなもの。とはいえ、全体としてはタキソテールを最初に使ってEGFR変異があればその後イレッサという方針が、今回の試験の解釈とその現実への応用として説得力があると思いました。

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イレッサ 効果あり!
ホメオパシーを批判するために臨床医学の科学性ということを前に書いたような気がしたと、今まで描いたものを見直していたら、イレッサ:厚労省「積極的選択、根拠なし」 とゲフィチニブとドセタキセルの比較試験についての医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録 が見つかりました。 ...続きを見る
三余亭
2010/08/26 23:55

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