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zoom RSS 育児本【忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス】と【お父さんのための1日10分、本気の子育て】

<<   作成日時 : 2008/05/13 00:22   >>

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2歳児の子育ての真最中で、日々大変です。このままで良いのだろうかと思うことも結構あり、いろいろ買って読んでみたわけです。そのうちから2冊、感想を。

【忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス 明橋大二著 1万年堂出版】と【お父さんのための1日10分、本気の子育て 松井直樹著 幼年教育出版株式会社】

【忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス 明橋大二著 1万年堂出版】
医者(精神科医)が書いた本。前半には、少しデータも出ています。子供の自己評価が、父親の育児参加によって高まる、ということなのですが(出典は菅原ますみ 「父親の育児行動と夫婦関係、そして子供の精神的健康との関連」『教育と情報』平成10年6月号だそうです)、子供が5−6歳の時の父親の育児行動が平均以上であったグループとそうでないグループでは、子供が10歳の時に「自分は生きていても仕方ないと思う」と答える割合が6.8%と15.8%と異なる、とのことです。

普通の解釈は、父親の育児行動により子供が自己肯定的になる、というものでしょう。しかし、育児行動が平均以上であっても7%くらいは自己否定的な子供になってしまうと悲観的に考えたりとか、子育てしなくても85%くらいは自己肯定的となると考えたりとか、いろいろ判断できるわけです。屁理屈なんですけど。

そのあとはデータに基づく記述、というわけではないのだけれども、子供と遊ぶ、ほめる、妻をねぎらう、など忘れがちなことが書いてあるし、体罰以外のしつけについて(タイムアウトという決まった場所に決まった時間いさせる方法)紹介されており、参考になります。

妻も読んで、なるほどいいことが書いてある、と言いましたが、感じの振り仮名が多いしマンガも多い、読者として想定している人間のレベルが低い、と言いました。ごもっとも。

【お父さんのための1日10分、本気の子育て 松井直樹著 幼年教育出版株式会社】
購入後、早々に後悔しました。

「子供にはできるだけ早く英語の環境を用意して、基礎工事をしてあげなければいけません。(p20)」と書いてあるではないですか。

早期教育については賛否両論あるでしょう。詳しくはWikiPediaで。これら批判に対する反論らしきものは、マレーシアの華僑の方の話だけ。しかし、生まれた時から多国語で育つ環境で学ぶことを、日本語だけで過ごせる環境で学ばせようというのはかなり無理があるのではないでしょうか。

他に、「戦後、私達の食生活で劇的に変わったのが乳製品です。牛乳、チーズ、バター、ヨーグルトなどを食べるようになったのですが、これらは日本人の体には合いません。(p21-22)」「最近になってようやく牛乳を飲むことがかえって体内のカルシウム量を減らしてしまうことが知られるようになりました。(p22)」という記述もあり、これも気になりました。

カルシウムの代謝については、http://milk.asm.ne.jp/jimu/ca/15.htmにて。

カルシウム摂取量の多い国で骨粗鬆症による骨折が多いことはカルシウム・パラドックスとして知られているようです。
WikiPediaの参考文献として出ていた文献(^Human Vitamin and Mineral Requirements, joint FAO/WHO expert consultation, 2002, (Chapter 11 Calcium))にあたってみました。それによると、次に引用するとおり。
he calcium paradox

The paradox that hip fracture rates are higher in developed nations where calcium intake is high than in developing nations where calcium intake is low clearly calls for an explanation.(中略) Only recently has fracture risk been shown to be a function of protein intake in American women. There is also suggestive evidence that hip fracture rates (as judged by mortality from falls in elderly people across the world) are a function of protein intake, national income, and latitude. The latter is particularly interesting in view of the strong evidence of vitamin D deficiency in hip fracture patients in the developed world and the successful prevention of such fractures with small doses of vitamin D and calcium. It is therefore possible that hip fracture rates may be related to protein intake, vitamin D status, or both and that either of these factors could explain the calcium paradox. We shall therefore consider how these and other nutrients (notably sodium) affect calcium requirement.
強調した部分では、「大腿骨骨折率は蛋白摂取、国民所得、緯度の関数である、という証拠がある」、ということですから、蛋白摂取が多すぎると問題なのでしょう。そういう意味では牛乳の取りすぎはよろしくないが、魚だって蛋白を含むわけです。また、蛋白摂取量だけではなく、緯度も関連しているとのことでVitamin Dも関連していると考えられているようです。

こちらで調べると、煮干し100gは、タンパク質64.5g、カルシウム2200mg。カルシウムを単位質量摂取するときに一緒に摂取する蛋白の量を計算しましょう。蛋白/カルシウムで計算できます(単位はgでも、mgでもよいのでそろえましょう)。計算すると、約29.3。
めざし一尾(9g)はタンパク質2.1g、カルシウム29mg。こちらは約72.4。
牛乳210gは、タンパク質6.9g、カルシウム231mg。こちらは約29.9。
牛乳よりもめざしの方が同じカルシウムを摂取するのに一緒に摂ってしまう蛋白が多いようです。煮干しは同じくらいなんですね。

Ethnicityの項では、
In the United States, fracture rates are lower among Japanese than among Caucasians but may be accounted for by their shorter hip axis length and their lower incidence of falls. Bone density is generally lower in Asians than Caucasians within the United States but this again is largely accounted for by differences in body size. There are also lower hip fracture rates for Hispanics, Chinese, Japanese, and Koreans than Caucasians in the United States. The conclusion must be that there are probably genetic factors influencing the prevalence of osteoporosis and fractures, but it is impossible to exclude the role of differences in diet and lifestyle between ethnic communities within a country.
強調したところだけ意訳すると、「結論としてはおそらく遺伝的要因が骨粗鬆症と骨折の頻度に影響しているだろうが、食生活や民族共同体での生活スタイルの違いの影響を除外することは不可能」

つまり、牛乳を多く飲む白人が他の物を食べても他の人種より骨粗鬆症になりやすければ、牛乳のせいでなくとも牛乳が悪さをしているように見えてしまうわけです。そういうことを考慮しなくては正しいことは言えません。

引用した最初の分では、アメリカの日本人は白人より骨折の頻度が低いが、骨の長さが短いことや落下の頻度が低いことで説明できる、と書かれていますし、骨密度はアジア人の方が白人より低いが、これは体の大きさで説明できるそうです。人種差や生活スタイルの影響はありそうですね。

他に、本書ではラクターゼ欠損症とか乳頭不耐症の方を前提に話をしているように見受けられる部分もありましたが、これについては、こちらの乳糖の項を参照のこと。要点は、
一方、乳糖不耐症者に骨粗鬆症が多いという報告があるが、それはカルシウムの吸収が悪いというより、カルシウムの摂取、特に牛乳・乳製品の摂取が少ないためであろうと考えられる。


同じアジア系の中国人では、牛乳からのサプリメントが骨の健康には有効だという研究結果があります。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11547841?ordinalpos=11&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

日本人男性でも、適度な運動と牛乳の摂取は骨にはよいという研究結果があります。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8964523?ordinalpos=18&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

ただ、日本の伝統食が悪いということは無く、Case-control study of risk factors for hip fractures in the Japanese elderly by a Mediterranean Osteoporosis Study (MEDOS) questionnaire. Bone. 1997 Nov;21(5):461-7.Suzuki T, Yoshida H, Hashimoto T, Yoshimura N, Fujiwara S, Fukunaga M, Nakamura T, Yoh K, Inoue T, Hosoi T, Orimo H.
In conclusion, some traditional Japanese lifestyle characteristics may prevent hip fractures among the Japanese elderly.


牛乳がどうということよりもVItamin Dだ、という論文も見つけました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12540414?ordinalpos=28&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

いろいろしつこく調べましたが、牛乳が日本人に悪いとは断言できなさそうです。

ということで、知らないことを断言しちゃっている本書のアドバイスはあまり耳に入らなくなっちゃいました。

後半はそれなりのことを書いているのだけれども、【忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス 明橋大二著 1万年堂出版】で十分。

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2008/07/29 21:46
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