三余亭

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zoom RSS 【なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか】【独学という道もある】

<<   作成日時 : 2009/03/13 04:11   >>

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受験シーズンも終わりに近づいてきました。そんな時期にぴったりの新書を2冊。どちらもちくまプリマー新書です。大学受験がうまくいった人、また来年の人、そんな人たち向けのようですが、楽しく読めました。1冊目は「なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか 浦坂純子著 ちくまプリマー新書 099」。もう1冊が「独学という道もある 柳川範之著 ちくまプリマー新書 102」。どちらも最近の本です。

「なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか」では、大学で学ぶことが社会に出てからも役に立つのだ、ということを書いた本。著者は同志社大学社会学部産業関係学科の准教授です。受験に不必要な科目でも勉強しておくことの意義、大学での学び方の心構えなどが書かれています。受験で数学を選択しなかった場合の生涯賃金について書かれており、これから受験する大学を決める方は一読しておいた方がよいでしょう。また、大学での学び方について書かれた第4章「学び方が変わる−大学入学準備講座」は大学入学が決まった方におすすめ。私も最初はいろいろと戸惑いました。この章が20年前にあれば・・・・。

「読み書きそろばん」は、「社会生活を営むうえでの基本的学力」と明鏡国語辞典に載っています。昔からこういう言い方をしますが、今はプラス話す、聞くというコミュニケーション能力も必要不可欠です。結局「社会人基礎力」や「地頭力」の大本を支えているのは、これらの力に他ならないのです。(p153)
この「読み書きそろばん+聞く話す」(p153)は、大学でまじめに勉強すれば力がつく、ということです。大学ではゼミで文献を読み、レポートや論文の指導を受け、データリテラシー(そろばんに相当)も身につけ、ディスカッションの仕方も学び、と社会に出てからも役に立つことを身につけられる、とのこと。

大学で学ぶことが社会に出てからも役に立つ、という著者の主張はその通りでしょう。
まず問題意識を持って取り組みを立案すること。その際、現状を正確に把握するべく下調べを行うこと。そして、勇気を持って実行に移す。得られた結果は、冷静に振り返り、総括し、周囲と共有する。研究だけでなく、仕事でも、取り組む対象が何であっても、専門分野にかかわらず、求められるプロセスはすべて同じです。(p165-166)
これはその通りだと思います。共通する要素があります。

ただ、そのような力は大学でなければ身につけられないか、というと、そういうわけでもなさそうだ、というのが「独学という道もある」。現在東大経済学研究科で准教授をされている筆者の、中学卒業から大学院までの自らの独学法を紹介しています(大学院は東大に進んで通信制ではないのだけれど、大学院の勉強自体が独学みたいなものだったそうです。)。筆者は、高校に相当する年代はブラジルで独学をし、大学はシンガポールに居ながら慶応の通信制大学を卒業していらっしゃいます。

父の転勤でブラジルにくっついて行ったので、高校には入らずに独学することになったそうです。思い切ってますね。日本から参考書を持って行ったそうです。

そんな著者の試行錯誤の結果編み出した独学の方法が、「ノートは作らない」「マーカーは引かない」「テキストを2回読む」「問題集はやらない」。
How toものに近い部分なので、細かく書きませんが、参考になる方もいるかもしれないし、あわない方もいるかもしれないです。読んでみてご判断を。

著者の勉強法を知って、ああすれば良かったと反省したのは、問題集の使い方。問題を解くことばかり考えていました。苦手だった社会科も、問題集を紹介されたように使えば少しはましだったかも。

学者になってからあらためて思うことは、勉強や研究の自分なりのマスターの仕方を、自分なりに工夫することが実はとても大事だという点です。そこをうまくやれると、ずっと早いスピードでステップアップをしていきますし、そこを間違うと結局回り道をしてしまうということなんじゃないかなと思います。(p51)
というところには賛成。他人に合った方法であっても、自分がその方法でうまくやれるとは限りません。ノートをきれいに書くのが合う人も居るし、教科書を読み込むのが合う人も居るし、参考書に線を引きまくるのがいい人も居るし、それぞれです。

受験での評価と世界の評価が違うことを述べられた後で、こう書かれています。
単に今の受験のテクニックがないからといって諦めないでほしい、というのが、受験生の方々に強く思うことです。おそらく、もうちょっと違う能力があって、それなりに活かせる場所というのはあるんだと思います。(中略)そこは自分で少し苦労して見つけ出していくしかない。けれども実は、生きていくうえで一番重要なことは、たぶんそういう努力ではないかと思うのです。自分に合ったものを、いかに自分でうまく見つけていくかが重要だと思います。(p120)
その通りですね。入試が厳しそうなら、著者のようなキャリア形成もありです。初めての入試らしい入試が大学院だそうですから(慶応の通信課程には入試がなかったそうです)。研究は入試のような時間制限はありませんから、時間がかかるが独創的なことができる(したい)人は、著者のようなキャリア形成は十分ありでしょう(相当厳しい道でしょうけど)。

どちらの著者にも共通しているのが、働くことと勉強との関連を述べている点。
「なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか」では
今の自分の延長線上に「働く」ことを明確に意識し、自分らしいキャリアを積み重ねていく覚悟と自信を養うこと。最終的にそのようなことがストンと腑に落ちる、そんな議論が展開できればいいなと思っています。(p25)

「独学という道もある」では
ほとんどの高校生は、自分が行く学部を偏差値で一生懸命選びますが、その学部に行って将来どういうことがやれるのかとか、何をやるのかとか、そういう結びつきはずいぶん希薄です。それは、すごくもったいない不幸なことです。(p80)
東京大学は、就職活動ではとても恵まれた大学ですが、それでも、どんな職業についてよいかわからなくて、かなりの人が就職に悩みます。(中略)その段階でも決して遅くはないのですが、やっぱりもったいないと思うんです。そうすると結局、それまで勉強してきたことが職業と直接には結びついていなかったということになるんですね。(p81)
将来の仕事を見据えて、今、あるいはこれから、どういうことを学ぶべきなのかを考えることが大事ですね。

大学でまじめに学ぶことを薦める本と、独学もありうることを書いた本。別々の主張のようですが、将来の職業のことを考えて学ぶ必要がある、というところは共通していると思います。大学の先生がお二人とも書かれているということは、将来の職業をあまり考えずに大学に入ってくる学生が多いということなのでしょうか。

高校生が2冊比べて読むのがおすすめ。そんな若者向けの本を、大学を出て10年以上経つ人間が読んだ理由は、子供が大きくなったときのための参考にしようと思ったから。子供が中学・高校くらいになったら、とりあえず大学、ではなく、どんな仕事に就きたいのかをまず考えるように話すことにします。

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