三余亭

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zoom RSS エバハートの治験で同意を得なかったのではないと疑われた件の報告書が出たそうで。

<<   作成日時 : 2009/06/29 02:31   >>

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前に書いた人工心臓の治験の件です。報告書が出たそうですので、思ったことなど。

前に書いたのは、
人工心臓の治験で同意を得なかった疑いが出た件
エバハートの治験

の2つ。

報告書そのものを入手したかったのですが、Googleでも見つけられないようです。ネットで見られるようにしてほしいですねぇ。福島県立大野病院での一件の最初の報告書のような、問題のある報告書ではないことを祈りつつ。

仕方がないので報道から。まずは読売からです。
「国循センター、体制不備」治験死亡で調査委が報告書

 国立循環器病センター(大阪府吹田市)で2007年春、未承認の補助人工心臓「エバハート」を治験(臨床試験)で装着した男性(当時18歳)が心肺停止して重い脳障害になり、08年春に死亡した問題で、国循の事例調査委員会(委員長・上田裕一名古屋大教授)は26日、医師の配置など診療体制に不備があり、心肺停止後に家族の同意で治験を継続した手続きにも不十分な点があったとする報告書を公表した。

 男性は拡張型心筋症で、エバハートを体内装着した約2週間後に容体が悪化。一時、心肺停止となった。

 報告書によると、心臓移植や人工心臓の装着を受けた患者への治療は臓器移植部が中心になるが、ふだんは心臓血管内科が担当。指揮系統が不明確で、医師間の情報交換も乏しかった。男性の容体急変は日曜で臓器移植部の医師はおらず、エバハートの知識もない医師が受け持ったという。

 心肺停止の原因は、エバハートの影響や循環血液量の減少などによって右心不全が悪化したと推定。心肺停止後、人工心臓装着中には禁止されている心臓マッサージを臓器移植部長の指示で行ったため、出血して心臓内に血腫が生じたが、緊急時なのでやむを得なかったと判断した。

 その後、母親が書いた治験継続の同意書には「納得できません。生命維持には治験に参加するしかないでしょ?」と書き添えられており、「治験を中止しても装置を外す必要はなく、説明が不十分」と批判した。

 男性の母親は弁護士を通じ、「私たちの思いを受け止め、よく調べてくれたと思う。治験の説明が不十分だったことも明らかになった」とコメントした。
(2009年6月27日 読売新聞)


次に産経です。
国立循環器病センターに遺族側が「真摯に受け止めてほしい」 (2/2ページ)
2009.6.26 23:07

 報告書では、治験を中止した場合について「医療チームの中で、具体的に検討された形跡はない」とし、「チーム内の誰も明確な認識を有していなかった」と指摘。そのうえで、中止した場合にどのような治療を受けることができるのかについて、治験継続の場合と比較して患者側に具体的に説明することが求められるとし、「センターの対応は不十分であったと言わざるをえない」と結論づけた。

 また、治験がすでに行われていた段階で、母親が継続について「理解(納得)することができません」と記したことについては「異常なことであって、将来的には再発が防止されるべきである」とした。

 さらに、少年の容体が急変した際の主治医が補助人工心臓の専門家ではなかったことや、同センターが日常業務でも診療の責任や分担が複雑な構造になっていたことを挙げ、「チーム医療の推進において、リーダーの存在が希薄であったと言わざるをえない」と指摘した。

 報告書について、センターの友池仁暢病院長は「提言を踏まえて、早い時期に具体的な再発防止策を整えたい」。厚生労働省政策医療課は「センターは内容をよく読んだ上で、正すべきところがあれば正してもらいたい」との見解を示した。


本当は報告書に当たらないといけないんですが、前から知りたかった2点を今回の報道から知ることができるかどうか。知りたかった2点は、
1.一連の経過は人工心臓をつけてもつけなくても拡張型心筋症の経過の中で起きうることだったのかどうか。
2.母親は同意書に「納得できない」と書いたとのことですが、同意書にそう書かれても同意をとったとみなしてよいのかどうか。

読売では、「心肺停止の原因は、エバハートの影響や循環血液量の減少などによって右心不全が悪化したと推定。」と書いてますが、拡張型心筋症の経過の中で起きうるものかどうか、これだけでは何とも判断できなくって。心不全は拡張型心筋症でおきると思うのだけれど、報道では循環血液量の減少とわざわざ書いてますから予想外の何かが起きたのかどうか。報道だけではわからないですね。拡張型心筋症や人工心臓をつけた後の経過中に起きることなら、循環器病センターは説明不足と批判されることはあっても医療ミスではないと思います。(抗凝固剤を使っていて、何かのきっかけでどこかで出血したのかな?とも考えたのですが・・・。報告書を読まないとわからないですねぇ。)

同意書に「納得できない」と書かれたことは「異常なことであって、将来的には再発が防止されるべきである」という結論で、これはその通りだと思うのです。同意とは見なさないというのはよいのですが、しかし治験を中止したとして他の人工心臓に取り替えるのか治験外でエバハートを使い続けるのか、どうするんだ?ということになる。これには「治験を中止しても装置を外す必要はなく、説明が不十分」という結論だそう。

これはなかなかな結論で、薬の治験なら患者さんが治験中止を希望されれば薬をやめてデータ収集をやめますが、今回は治験中止後も人工心臓を使い続けてよい、と言う。それでいいの?という驚きがあります。この論法をかなりの一般性を持って許すと、治験を中止した後も治験薬を希望する患者さんには治験薬を処方し続けなくてはならなくなるかもしれないのですが、新薬の有効性や安全性を調べるためのデータが必要な段階の治験薬でそれが許されるならそもそも治験なんていらないわけで。

今回の「治験を中止しても装置を外す必要はなく」、というのは人工心臓などの「一度取り付けたら外せない機器」限定の話と考えたいところです。stentとかね。

報告書に目を通したいな、というのが今の気持ちです。治験や臨床試験に影響を与えるかもしれない報告書だと思います。

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エバハートの治験で心肺停止が起きた件の報告書を読む。
エバハートの治験で同意を得なかったとされた件での報告書が公開されていました。 http://www.ncvc.go.jp/chiken_houkoku/index.html 85ページにわたる報告書です。 ...続きを見る
三余亭
2009/08/26 23:20

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エバハートの治験で同意を得なかったのではないと疑われた件の報告書が出たそうで。 三余亭/BIGLOBEウェブリブログ
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