三余亭

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zoom RSS エバハートの治験で心肺停止が起きた件の報告書を読む。

<<   作成日時 : 2009/08/26 23:20   >>

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エバハートの治験で同意を得なかったとされた件での報告書が公開されていました。
http://www.ncvc.go.jp/chiken_houkoku/index.html
85ページにわたる報告書です。

一連の経緯、医療体制として問題がないか、といったことにも触れられていますが、”治験として何か問題があったかどうか”ということに絞って考えたいと思います。一連の経緯などに興味のある方は報告書に当たっていただくと良いと思います。別添資料5に医学用語集がついており、医学に詳しくない方にも何とか読んでいただこうという配慮がなされています。この配慮はよいですね。

委員名簿が4ページ目に出ています。現職名は書かれているのだけれども、利益相反に関する内容が書かれていません。これは書いた方がいい、と思います。エバハートの治験に参加しているのかどうか、以前循環器センターに勤務したことはないかどうか、この件に関わった医師と師弟関係や以前一緒につとめたことがあるかどうか、など書いておいた方が報告書に疑問を持たれなくていいと思います。利益相反は一応指摘しておきますが、報告書を読むと今回は委員の利益相反があったとしても、それが悪い方に働いてはいないようです。

ご遺族のお話です。
本件治験の説明同意文書の改訂に伴い、平成20年2月に再同意の説明を受けた際には、泣き寝入りはしたくないと思い、同意する気はないと臓器移植部長に伝えた。署名と捺印はしたものの同意する意志がないことを書くつもりで、あのように記載した。今でも同意したつもりはない。受理されないかもしれない、と言われたがその後、何の連絡もなかった。
平成20年当時の主治医のD4医師とCR1(CRC)に「治験をやめたら器械は取り出されるのか」と聞いても返答がなかったので、肯定だ、と思った。
治験中・離脱後の医療費等について具体的な説明を聞いた覚えはない。(p8)


平成20年2月の同意書の余白に書かれていたことは報道通りのようです。
「手術する前に説明された内容と大きく異なります。今回のこの文書に記された内容を理解(納得)することは出来ません。ですが、生命維持する為には、治験に参加するほかないでしょ?」(p18)

ただ、ご遺族の「手術する前に説明された内容とは大きく異なる」という言葉の意味が、手術前に心肺停止の説明をされなかったということなのか、治験の中止は自由意志だと言われたことと違うという意味なのか、報告書を読んでもはっきりしません。これは報告書の書き方が悪い。

V-4ご遺族の思い には最初の説明の内容や受け止めが書かれていませんが、X-3治験経過の概要 に最初の説明内容の説明がありました。別添資料1-1にある患者用説明文書のように説明されたようです。別添資料1-1には、治験に関するリスクとして「機器関連の右心不全」も「一過性脳虚血発作・脳梗塞・脳出血」も書かれています。心肺停止は書かれておりませんが。

心肺停止を最初の説明文書に入れておくべきかどうか、これは循環器病の門外漢には何も言えません。ただ、当たらし治療方法の開発においては予期せぬ副作用の可能性があるわけで、今後は「その他予期せぬ副作用」といった言葉を入れておくべきなのでしょう。とは言っても、初回の説明文書(別添資料1-1)のリスク説明のところで、「装置の不具合または故障については、その程度は様々で、速やかに対処しないと患者さまの生命に危険を及ぼすような重篤なもの(p15)」と書かれていますから死亡のリスクを説明したと考えてもよいところです。

説明文書を読ませていただいて、治験についての説明内容としては十分な印象を持ちました。今回もめたのは、治験の説明というよりも心肺停止が起きたときの説明に不満がある、というのが一番なのでしょう。

ただ、治験を中止した場合の医療費の問題は事前にあまり検討されていなかったようです(報告書69-70ページ)。「植込まれている治験機器を体内から取り出すことが生命にとって危険な状態を招くおそれが高いことを踏まえ、本治験機器が埋め込まれたままで治療が継続できるように、治験機器を装着使用し続けるために必要となるすべての治験機器が治験依頼者から無償で提供することを意味する(p69)」ということがプロトコールに記載されているそうですが、「治験継続の場合と中止の場合とでメンテナンスのレベル維持や患者の費用負担の点で具体的にどの程度の差異が生じることになるのかについては、チーム内の誰も明確な認識を有していなかったことが窺われた。(p69)」「家族は、中止すれば治験機器を取り外さなければならなくなると思っていた節がある(p70)」そうです。そうです。治験中止後の費用負担について治験依頼者と相談して、早めにご家族に説明した方が良かったと思われます。他の治験・臨床研究でも問題になりそうで、参考になります。

「最初の説明と違う」というのは治験の中止に関してのことのようですね。

今回の件とはあまり関係がありませんが、治験を中止しても今後の方のために安全性の情報が必要になってきます。特に重篤な副作用が起きる方に特徴があれば、その情報は有用です。治験中止に同意されても、安全性の情報については報告するシステムが大切だと思います。その点は治験前に説明して同意を得た方がよいと思います。

報告書がネットで公開されて、大変よかったです。

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