三余亭

アクセスカウンタ

zoom RSS 混合診療のよい点・悪い点

<<   作成日時 : 2009/10/02 01:48   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

混合診療を違法とする根拠について裁判で争われています。

混合診療訴訟:原告が逆転敗訴 東京高裁

保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する「混合診療」を受けると、本来は健康保険が適用される診療も含めて治療費全額が自己負担となる厚生労働省の運用の妥当性が争われた訴訟の控訴審で、東京高裁=大谷禎男(よしお)裁判長=は29日、「運用は妥当」と判断した。その上で、原告に保険給付を受ける権利を認めた1審判決を取り消し、請求を棄却する逆転敗訴を言い渡した。原告側は上告する方針。

国は混合診療を原則禁止している。1審は「運用に法的根拠はなく違法」と判断したが、2審は国の政策を追認した。

(中略)

控訴審では、84年の健康保険法改正で混合診療を一部認める例外規定が盛り込まれたことを巡る法解釈が最大の争点だった。判決は「認められたもの以外の混合診療は禁止されていると解釈すべきだ」と指摘し、国の運用を妥当と認めた。清郷さんは「患者が希望する治療を選択する権利を奪い、憲法が保障する生存権などを侵害している」とも主張したが、「医療の安全性確保などから、合理性を欠くとは言えない」と退けた。

1審・東京地裁は07年11月、「保険診療と自由診療を一体として判断すべき法的根拠は見いだせない。保険が適用されるかどうかは個別の診療行為ごとに判断すべきだ」として、厚労省の法解釈は誤りと指摘していた。【伊藤一郎】

(中略)

毎日新聞 2009年9月29日 21時12分(最終更新 9月29日 23時53分)

 

混合診療のよい点は、患者さんが保険診療も受けつつ自由に治療法を選べるということにあります。悪い点は、患者さんが自由に選んだ治療の副作用に対する治療を保険診療でカバーされてしまうと、みんなの保険料の使い方としてそれでよいかどうか疑問符をつけられてしまうことにあると思います。

もちろん、優れていることが証明された治療は速やかに保険でカバーすべきです。しかし、優れていることの証明には臨床試験が必要であり、よほどのことがなければ無作為化比較試験(優越性でも非劣性でもいいけれど)が必要です。

治療法の優れていることの証明が重要かつ難しい、ということを最近の実例を紹介して示したいと思います。椎体形成術という手技があります。骨粗鬆症などで圧迫骨折(背骨がつぶれる)を起こした後の治療です。実際の手順などは聖路加のサイトをご参考に。関西医科大学のサイトを読むと、「関西医科大学附属病院では、経皮的椎体形成術が厚生労働省より先進医療の承認を受け、保険診療との併用が認められました。「経皮的椎体形成術の費用」は自己負担になります。「経皮的椎体形成術の費用」以外の診察・検査・投薬・入院料等は健康保険を使用することができます。」とあります。また、1980年代から始められた治療ということも書かれています。20年以上、効果があると信じられてきた治療法です。

 

最近、椎体形成術はプラセボと同じという論文が発表されました。日本語での解説は以下を。衝撃を持って受け止められています。

http://www.e-radfan.com/files/news735.html

登録の後全文が読めるようになりますが、以下も。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200908/512075.html

椎体形成術は副作用がないわけではありません。論文発表後に行われた日本の学会の様子は以下にありますが、合併症についても触れられています。

http://www.e-radfan.com/files/news778.html

以上をふまえて個人的な意見を述べさせてもらえれば、椎体形成術を保険診療とするには、適応疾患をかなり見直した無作為化比較試験の結果で有効性が示さなければならないし、もしできないのなら保険適応は見送るべきだと思います。厚生労働省も先進医療の指定からいったん外した方がいいと思います。新しい治療は、ある程度の数の患者さんで安全性と有効性の見込みをたてた後、有望そうだと思われれば現在の標準治療と比較されるのが普通です(比べなくても有望確実という状況なら比較試験をしないこともあるようです)。椎体形成術は世界で初めて行われてから無作為化比較試験の結果が出るまで20年以上かかりました。無作為化比較試験の結果が出るまでは、ほとんどの人が有効性を疑っていなかったと思います。無作為化比較試験をやらなくてはわからないことがあります。無作為化比較試験は重要です。そして無作為化比較試験が行えるようになるまでにいろいろとやらなくてはならないことがあります。大変です。

 

良さそうだけれど決着がついていない、そういう状態の治療法を受けたい、もうそれしかない、という患者さんのお気持ちはよくわかりますが、決着がついていない治療法を保険適応とするわけにはいきません。無駄な医療かもしれないからです。と考えるなら、決着がついていない治療法の副作用を保険でカバーするのもいかがなものかと思われます。無駄な医療の上にさらに無駄な副作用が生じ、その治療の費用を保険で支払うのは無駄の上塗り感が強い。そして決着がついていない治療と標準治療を両方受けていて、副作用がどちらから発生したのかよくわからない状況の時にそれを保険でカバーすべきかどうか、意見が大きく分かれると思います。余裕があるときならば問題はないでしょうが、健康保険組合の解散が起きる昨今ではそんな余裕はおそらくないでしょう。

 

良いと証明された治療が速やかに保険適応となることを前提にすれば、混合診療解禁はしなくて良いし、することに意味はないと思います。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
混合診療のよい点・悪い点 三余亭/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる