三余亭

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zoom RSS 【国語のできる子供を育てる 工藤順一著 講談社現代新書】

<<   作成日時 : 2011/08/13 07:03   >>

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子供の頃は国語が嫌いで算数が好きでした。算数や数学は問題の答えが1つきちんと決まることがほとんどです。答えに至るまでにいろいろな考え方ができます。答えに至る道筋は複数あり、それを選ぶのは自由だけど答えは1つというところが気に入っていました。正解がはっきりしているのが好きでした。

それに対して国語のテストでは「(物語に出てくる)○○の気持ちはどのようなものでしたか?」といった「そんなの○○じゃないから本当のところは分からない。自分は○○はこう思っているはずだと思っても違うかもしれない」といった曖昧さのある問題が出されることが気に入りませんでした。しかも、そういう設問が間違っているとされた時に「こんな気持ちだと自分は思うのに、それのどこが悪い」と思えてしまって、腹の立ったことを覚えています。小学校の時でした。設問の曖昧さと、正しいと自分が思うことを否定された経験、この2つが国語が嫌いだった理由です。

大人になってから国語の得意だった女子に国語が嫌いだった理由を話したところ、「読んだとおりのことを書けばいいから簡単じゃない」と言われてしましました。そうだろうけど、読み取ったと思ったことを書いて間違いにされてしまうんです。どうしたらいいかわかんないじゃないですか。

大人になってから考えてみると、国語嫌いだった理由なんてたわいもないもので、同じようなことを別の言い方で表現することはたくさんあるし、実生活で相手の気持ちを読み間違えることだってあるわけだから、そもそも1つの正解しかない設問なんて作れるわけがないと分かるわけですが。

自分は国語が嫌いだったので、息子の国語学習をどうサポートすべきかよくわからないのです。書店でこの本を見かけたときに、息子が国語で困らなければいいなと思い購入しました。

著者は前書きで以下のように述べています。
「ことばによって思考し、表現することで、私たちは1つの世界を創り出しているということです。それは、新しい明日の世界の創造、すなわち子どもたちが希望を持って生きていける現実世界の建設に結びついていくものでもあります。(p4)」
「学校時代はすぐに終わり、テストに悩まされたり、だれかに勉強しろといわれたりすることもなくなりますが、それからが本当にことばを使って生きる、テストではない実人生の本番です。その時に使うことばの質が、その人の人生とその世界の質を決めていくことになるでしょう。読み書き、すなわち国語を学習するということは、それと直結しているのではないでしょうか(p4)」


言葉無しでは考えることができません。だから言葉を勉強する必要があります。より難しいことを考えようとするなら、できるだけ言語能力を高める必要があります。ある人の言語能力が低いなら、言い換えるなら使うことのできる言葉が貧弱であるなら、その人の思考には言語能力に依存する限界があり、使うことのできる言葉が貧弱であるから貧弱な思考しかできないということが起きるわけです。虚数を導入することで全ての2次方程式の解を表現できるけど、虚数を知らない人は2次方程式の一部しか解を求めることができないのと似ていると思います。

そういうことはよく分かってはいるのだけれど、ではどうすれば言語能力が高くなるのだろうか、という質問に対する著者の答えがこの1冊。

書くこと、読むことについての具体的な指導方法が書かれており、課題は出すけど指導はせずということになりがちな家庭での国語教育に役立ちそうです。課題からキーワードを連想し、発展させ、文章にまとめる一連の流れが具体的に紹介されていますし、学年に応じた読書の仕方の目標も示されています。

第3章の「読解力とは何か −学童期における読解能力と能力測定の問題」はテストでいったいどんな能力を調べているのかという根源的な問題に気づかせてくれ、大変面白く読みました。塾のテスト対策に問題があるという指摘は「中学受験は自宅でできる 進学塾不要論」とも共通しています。しかし、受験問題の全てが悪いわけではないという指摘に、私は認識を改めました。良い受験問題の例として、麻生中学の試験問題が紹介されています。解説を読んで、なるほどこのような設問で文章に対する理解を深めさせるのだと感心しました。大変素晴らしく、私も息子にこういう質問をしながら一緒に本を読む経験ができればいいと思いました。

サザエさん一家ではカツオがテストの点数が悪くて怒られておりますが、勉強する目的は目先のテストの点数をあげることではなく、本来テストが測るべき能力を磨くことこそが大切なのだと実感しました。

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【男の子の国語力の伸ばし方 高濱正伸著 東洋経済新報社】
小学校1年生の長男は、算数は得意だけれども国語が苦手だと自分で言ってきます。宿題も漢字の書き取りには「やる気が出ない」とか言う始末。小テストでも10問中1−2問を間違えることが多いのです。本は好きなようで、かいけつゾロリシリーズは愛読書なのですが。 ...続きを見る
三余亭
2014/01/08 00:42

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