三余亭

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zoom RSS 売るものは自分の臓器しか無いほどの貧困におちいっている方へ

<<   作成日時 : 2006/06/27 20:12   >>

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外国人肝移植、来日ドナー臓器売買かにkazuさんよりコメント頂きました。「売るもんは自分の体しかない!私もそのうちの一人です」とのこと、このような貧困が事実であれば、どんな風に応答すべきか、一瞬ひるんでしまいますが、考えてみましょう。

臓器を提供できるドナーはある程度健康でなくてはなりませんから、臓器売買が認められていたころのインドでも最貧層からの臓器は健康上の問題があることが多く、買われませんでした。粟屋 剛氏のサイトにあるように、
 ドナーについていえば、もちろん移植患者に比べて相対的に貧しいことは確かだが、インドの最下層のクラスの人々ではない。それらの人々は栄養状態が悪いことが多く、また、病気にかかっている場合もあり、仮に臓器を売りたくても売れないようである。臓器を売る(ことができる)のは、一応、粗末ではあるが家屋に住むクラスの人々である。
というわけで、本当に売るものが自分の体しかないくらいの貧困層であれば、残念ながら臓器も売れないのです。役所にお願いして、生活保護をなんとか受けてれるようがんばってもらえませんか。

以上は私の誤解で、健康で体力はあるが仕事が無い、ということでしたら、仕事を何とか増やしてもらった方が良いでしょう。それは政治家にお願いしていただけませんか。早まって臓器を売ったらhttp://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/eth/OJ4/kurose.pdfにあるように、
健康状態に関しては、13 パーセントの人が腎臓を切除した後でも健康の悪化はなかったが、86 パーセントの人が程度の差はあっても何らかの健康の悪化を訴えた。50 パーセントの人が腎臓を切除した箇所の恒常的な痛みを訴え、33 パーセントが長期間の背中の痛みを訴えた。
ということで、痛みのためや他の何かで充分に働けない可能性があります。

すぐに金が欲しい事情があるからなんとしても臓器を売りたい、ということでしたら、逆にその必死さに、私は臓器の安全性に疑問をもってしまいます。というのも、臓器の安全性の確保のためには正確な病歴や渡航歴(例えばBSE発生国への渡航歴、今後は鳥インフルエンザやマールブルグ熱、エボラ出血熱などの感染症発生地域への渡航歴だって問題になるかもしれません。)を知る必要がありますが、かなり強い動機で臓器を売りたいとなったら、これらの情報をごまかすかもしれないでしょう。(パスポートの偽造とかやってますよね。)ドナーにとって、レシピエントは一度きりの付き合いしかない赤の他人ですから、騙そうという気になるかもしれません。また、レシピエントの健康を願ってのことでなければ、臓器提供前にHIV感染のリスクが高い行為を行ったりなんだりと、レシピエントの術後経過に影響を与えるような行為をする可能性だってあるわけです。要するに、金銭へ動機ゆえに、少なくとも私は、売買された臓器の安全性を信用できないと言うわけです。群れの論理より個の論理協力の論理より裏切りの論理が強い状況だと私は考えています。もちろんそうではない人もいらっしゃるでしょうが、そのような可能性を排除できないと考えています。そのような小さな、しかし重篤な健康被害をもたらす可能性ゆえに、臓器の安全性を重視したいと思います。

そんな細かいこと言うなという意見には、肝炎訴訟や薬害エイズ訴訟などの人体由来の材料での健康被害の例を出しましょう。臓器移植に関連してもこれらと同じような問題が起きた場合、それは問題だと思うのです。特に透析のように、腎臓移植に劣りはしますが長期間健康を保つことの出来る医療が存在する場合には問題だと思います。

粟屋剛氏はhttp://homepage1.nifty.com/awaya/hp/ronbun/r001.html
 倫理観自体も変化(進化)する。今我々が持っている価値観は過去の世代の人々のそれと同じではない。今我々が持っているのと同じ価値観を次世代の人々が持ち続けるとは限らない。我々自身も同じ価値観を持ち続けるとは限らない。将来、状況が変わることは充分に予測される。臓器売買が、インドのように、世界中でビッグビジネスになる日はそう遠くないのかも知れない。臓器を売るインドの貧しい人々は人類の明日を切り開いているのであろうか。
と書かれています。おっしゃるとおり、将来は倫理観が変化する可能性はあるとは思います。しかし、現在はその倫理観ではないと思います。また、一度しか取引しない腎臓では、裏切りの論理で行動する人間がいるかもしれません。

人間は自分の命がかかれば多少の不正をする場合があります。それが臓器を買う人間がいる理由です。そして、同じ理由でレシピエントの命への欲求を利用しようと、レシピエントの安全を省みずに臓器を売りつける人間だっているはずです。レシピエントの健康を第一に考えるなら、臓器提供に金銭が絡まない方が良いと私は思っています。

臓器しか売るものが無いという状況を解決するには、臓器売買を許容するという狭い枠組みではなく、経済状況を改善すること、仕事が出来るよう教育を受けさせること、どうしても働けない人間は支援すること、などが必要だと思います。それらのことを具体的に展開する能力が私にはありませんので、具体的な解決策を示すことが出来ずに終わってしまうのですが。

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三余亭
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
臓器を売って金がほしい今の、自分にはそれしかないいくらか金になるならそうしたい。教えてください。出来る所
ひろ
2008/07/18 23:00
無いよ。可能性としては海外だが、行くまでにお金がかかる。お金が無かったら日本人は臓器を売れないのだ。渡航費で消えるかもしれないけれど。
三余亭
2008/07/23 22:31

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