三余亭

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zoom RSS 【NHK 未来への提言  異次元は存在する リサ・ランドール 若田光一著 NHK出版】

<<   作成日時 : 2007/07/22 10:51   >>

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NHKのBS特集「未来への提言」で放送されたものをまとめたもののようです。インタビュアーが宇宙飛行士の若田さん。物理学者のランドール博士にインタビューしたものをまとめています。異次元といってもSFの話ではなくてガチガチの物理学に関する話題。我々の暮らす空間は5次元世界の中の膜(ブレーン(membraneのブレーンらしい))のようなものだというのです。

相対性理論の4次元の話でもわからないのに、5つ目の次元が存在するというのです。そして、
残念ながら、人間がこの5次元世界を感じることはできませんし、行くこともできません。わたしたちの住むこの宇宙は、3次元の膜のようなものの上に貼り付けられているからです(中略)
しかし、たとえ直接出て行って探索はできなくても、5次元世界は確かに存在していて、私たちのクラス3次元世界に驚くような影響を与えている可能性があるのです。(p10)
わくわくするような話でもあるし、気持ちの悪い話でもあるし、まぁ、びっくりする話です。

なぜ5次元がないといけないのか、それは、
原子核を構成する素粒子のなかに、この世界から姿を消すものがあるという矛盾にぶつかる。
なくなるはずのない素粒子が姿を消すのはなぜか。
わたしたちの世界を取り囲む別の次元があると仮定すると、矛盾が解決することにランドール博士は気づいたのだ。(p19)


今までの実験結果を説明できるというわけですね。

5次元をどう想像したらいいのか、2次元の住人が3次元を想像するやり方を紹介されています。元ネタは「多次元★平面国:ペチャンコ世界の住人たち」(石崎阿砂子、江頭満寿子訳、東京書店)や「二次元の世界:平面の国の不思議な物語」(高木茂男訳、講談社)で翻訳されている「Flatland : A Romance of Many Dimensions」という本らしいです。説明されるとなんとなく3次元より大きな次元を想像できる気がしますが、じゃ4次元と5次元と区別できるのかときかれると、それは私には無理。

さて、説明できるだけで、それは科学者が考える実在になるかというとそういうわけではないようです。
実は、すべてのものが膜に貼りついているわけではないのです。現在の物理学では、重力エネルギーは時空を越えて自由に振る舞える、すなわち、3次元世界と5次元世界の間を行き来できると考えられています。(中略)
目に見ることも感じることもできない5次元世界の存在をわたしたちが確かめられる現在唯一の方法は、おそらく重力を通してというものでしょう。(p50)
とランドール博士は述べられています。5次元世界の存在を仮定すると、実験結果を説明できるけれども、5次元世界は確かめられてはいない、ということなのでしょう。次の一文からも、博士の提唱がまだ「モデル」の段階と考えていいと読めるのではないでしょうか。
わたしは自分のことを「モデル構築者」だと思っています。わたしたち理論物理学者は、この世に存在しうる事象について、あらゆる可能性を打ち立てることを仕事としています。(p21-22)


実は5次元世界の存在を確かめる方法が他にもあるようで、欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)が総工費3500億円をかけて作った超高エネルギーの粒子衝突型加速器、ラージ・ハドロン・コライダー(LHC)を使った実験だそうです。
わたしたちが期待しているのは、非常に高いエネルギーによって起こることが、わたしたちが提唱する5次元世界においては、時空の巨大なゆがみによって、非常に低いエネルギーでも起こりうるということです。もしこのことが実証されれば、そこから物理学的に導き出されることがたくさんあります。(p61)
今年から実験が始まるみたいです。数年後には、この分野からおもしろい話が飛び出してくるのでしょう。

さて、5次元のように人間が直接感じられないものがあるのかないのか、科学哲学のおもしろい話になると思うのです。今議論されている最中のその概念が、どの時点で仮説としての存在から確実な存在に変わるのか、などなど、科学哲学者とか科学史、科学の社会学の研究者に是非今から注目して研究してもらえれば、5次元世界のおもしろさとは別のおもしろい話がでてくるかもしれません。

未来への提言の一冊ですから、博士から提言があります。多分このためにまとめたのでしょうから抜かすわけには行きません。
今世紀を生きる上で最も大切にしたいものは?との若田さんからの質問に、博士は、「探究心、理解力、友情」と答えます。
探究心、すなわち、「なぜ物事は今日、私たちに見えるように現れているのか」―それを知りたい、解き明かしたい、そう思うことは、人間が生きていく上での考え方の基礎になります。
けれども、目の前にある世界だけを見ていては、人は往々にして間違った仮説を立ててしまいsます。自分以外の人間を理解する力、自分以外の文化や世界を理解する力が、より深い大きな意味での理解に結びついていくのだと思います。
そして、友情は自分以外の人を好意的に理解することだと思います。わたしの研究にとって、そして人生にとって不可欠なのは、お互いにこうした関係を築くことのできた友人たちなのです。(p74)
科学だけに限らず、社会を見る眼もこうあるべきなのでしょう。

大変楽しく、読めました。博士の「ワープする宇宙〜5次元時空の謎を解く」も機会があれば読んでみたいと思います。

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【ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く リサ・ランドール著 向山信治監訳 塩原通緒訳 NHK出版】
ワープと言っても、宇宙戦艦ヤマトやSFで出てくる宇宙船の瞬間移動のワープではなくて、”ゆがむ”という意味のWarp。この世界は実は5次元で、普通の3次元空間と時間が加わった4次元に、さらに目に見えない5次元目が余剰次元として存在しているという仮説の解説。その5次元目が「歪曲している(p516)」ので、ワープする宇宙ということのようです。【NHK 未来への提言  異次元は存在する リサ・ランドール 若田光一著 NHK出版】でも5次元宇宙の紹介はされていたのですが、今回は600ページちょっとの... ...続きを見る
三余亭
2007/09/07 00:56

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