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zoom RSS 【失敗の愛国心 鈴木邦男著 理論社】

<<   作成日時 : 2008/07/02 02:11   >>

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よりみちパンセの中の一冊。一水会顧問の鈴木氏の著作は以前に「愛国者は信用できるか」を取り上げました。もう一冊読んでみようという気になったということは、どこか一致する部分があるということなのでしょう。自分では保守的・右翼的とは表は思ってはいないのですが。本書は「よりみちパンセ」の中の一冊ということもあり、わかりやすい言葉で書かれています。

著者の高校時代から大学、社会人になっての経験が書かれており、まぁ、面白いわけです。高校2年生の時に浅沼社会党委員長刺殺事件がおこり、そして自殺したのですが、その一連の事件を同じ17歳が起こしたこととして深く受け止めたことが書かれています。ショッキングな事件が起きた時に、自分に関連付けて深刻に受け止めるということは、最近の秋葉原の事件でも同じような境遇の方ではあるのかもしれません。私の場合はオウム真理教の一連の事件でした。

それはさておき、著者はかなりこの浅沼委員著刺殺事件から影響を受けたようで
この事件を「なぜ?」と問い続けることがキッカケとなって、僕は右翼になる。その結果からみると、僕の中でこの刺殺事件の占める位置は限りなく大きい。(p68)
と書かれています。話が変わりますが、秋葉原の事件からもこんな風に影響を受ける人が将来現れるのでしょう。

さて、著者はミッションスクールで高校を過ごしたのですが、そこでは聖書の授業があったそうです。今は聖書の言葉から励まされることもあり、聖書を勉強してよかったと感じるそうですが、当時は体罰があったこともあり、「キリスト教なんて嘘だ、と思った。(p83)」そうです。そんな経験があるからなのでしょう、次のように書かれています。
「強制」だけでは人間は反発してしまう。どんないいことでも、「そんなものいらない!」と思ってしまう。(p83)


そうですね。本人にやる気がなければ長続きはしません。強制されて本人が面白くないと思ってしまえば、反発されてしまい、身に付けさせようと強制したことが却って裏目に出ることがある、というのは経験からもよくわかります。

著者は高校3年の卒業間近の時に教師を殴って退学となり、半年後に復学して卒業するのですが、そのあたりも面白いです。早稲田大学に入学後、「生長の家学生道場」で過ごした日々のことは「愛国者は信用できるか」でも書かれていましたが、こちらの方が具体的で面白いです。早稲田大学でのストライキの話も面白いですね。私の学生時代にはストライキなんて全然ありませんでしたから。

一時期右翼活動はやめて就職していた著者ですが、三島由紀夫の自殺と、著者の後輩の森田必勝氏の死をきっかけに再び右翼活動に戻ります。
ちょっと平和になると、僕らはその「戦場」から逃げた。でも森田氏は、逃げずにずっと戦場にいた。そして三島と共に死んだ。俺たちはズルイ。卑怯だと思った。生きていることが申しわけなかった。強烈にやましさを感じた。(p137)


誰かに負い目を持つことをきっかけに、生活や人生が変わることってありますね。私も経験があります。わかります。まぁ、あまり健康的なことではないので人に薦めはしないし、そんな人が居たら負い目なんて感じなくていいと言いますけれど。

そして負い目のある人間が集まって一水会ができるそうなのですが、本島長崎市長へのテロ事件を扱った朝まで生テレビに出演したことなどから、言論活動に重きを置いた事など、いろいろ考えさせられるところがあります。そのあたりは読んでいただいて。

一番もっともだ、と思ったのは、第8章のタイトル「でかい「正義」にきをつけろ!」
100%有無を言わせぬ「正義」は、大抵嘘です。

次にもっともだ、と思ったところは
テレビで、小学生に愛国心を教えている学校を取り上げていた。その中で、先生はこう言っていた。
「世界にはいろんな国があります。砂漠だけの国もありますし、一年中、氷に閉ざされた国もあります。しかし、日本は春夏秋冬があり、山や川など美しい自然があります。この美しい日本に生まれた喜びを感じ、誇りを持つのが愛国心です」

ウーン、そうかなと思った。じゃ砂漠の国や、一年中、氷に閉ざされた国の人々は愛国心を持たなくていいのか。もっと悪意に解釈すると、「そんな国は愛国心を持ちようがないだろう」と言っているのかもしれない。愛国心を持つ資格があるのは日本だけだ、と言っているようにも聞こえる。(中略)何気なく、素朴に愛国心の必要性を言っているようで、そのくせ(知らずに)他の国の人々を傷つけている。見下している。そんな気がする。「愛国心」は怖いし、愛国心を教えることも怖い。よほど注意しないと危ないと思う。(p25-26)

この辺のところは「愛国者は信用できるか」でも
愛国心は「愛」と言いながら、他人も他国も愛さない。自己愛と国家愛しかない。(「愛国者は信用できるか」p25)
と書かれていました。

愛国心は難しいですね。

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三余亭
2008/07/06 00:36

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