三余亭

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zoom RSS 「頑張れ」という言葉は時々残酷

<<   作成日時 : 2009/04/14 22:45   >>

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「なぜ、かくも卑屈にならなければならないのか こんな患者―医療者関係でよいわけがない 野笛涼著 へるす出版」の237〜238ページから。
ある神経内科の先生の講演で、筋ジストロフィーの子どもたちへの告知の話を聴いたことがある。その世界でも小さい子どもたち(小学生くらい)へ筋ジストロフィーについて正確に話すことを避ける風潮があったらしい。しかしこの先生は子どもたちにもどういう病気かをきちんと説明した。その時、子どもたちがどういう反応をしたか、ということを聴かされて、僕は涙が溢れるのを抑えられなかった(今でもこのことを話したり書いたりすると危なくなる)。
「そうだったのか、先生。僕はみんなが頑張れ頑張れ、と言うから、僕の努力が足りなくて手が(足が)動かないのかと思っていたよ。もっともっと頑張らなければいけないんだと思って苦しかったよ」
だいたいこのような反応が返ってくる、という話だった。真実を知り、自分の生き方を決める権利はだれにでもある。子どもにも、お年寄りにも。


書名が煽りすぎな感じがするこの本ですが、それはさておき、「頑張らなければいけないんだと思って苦しかった」というお子さんの気持ちを聞くと、あまりにも頑張れ頑張れと言うのは病人にしてみると病気の苦しみに加えて自らにプレッシャーを与えて苦しむということになるわけで、あまり薦められることではないと思うわけです。

突然こんなことを書いたのは、最近ある家族の「頑張れ」という言葉の入った会話を聞いて、上で引用した文章を思いだしたもので。

その方は、患者さんに「治すつもりで頑張れ」と声をかけたようなのですが、その患者さんの状態はと言うと、化学療法を行ったにもかかわらず転移が出現してきて治ることはほぼ無理な状態なのです。家族の気持ちは痛いほどわかりますが、この状況で「頑張れ」と言い続けるのは「お前の努力が足りない」と患者さんを責めているだけの言葉になってしまう可能性があります。

「最後まで、一縷の希望にかける」という気持ちは良くわかりますが、あまり「頑張れ、頑張れ」と言葉をかけない方がいい。病気になったのは誰のせいでもないのです。病人が悪いわけでないのです。病気が進むのは本人の頑張りが足りないせいではないのです。「もっともっと頑張らなければいけないんだと思って苦しかった」なんて思いをさせてはならない。

話が変わりますが、私は色覚異常があって、日常生活では問題がないのですが検査をやると引っかかってしまいます。初めて検査を行ったのが確か小学2年生。担任のおばさん先生が見せる色覚検査の紙に、なんて字が書いてあるのかさっぱりわからない。「わからない」というと「そんなことないでしょ」と何度も何が書いてあるか聞いてくる始末。何度聞かれても、その色を区別できる遺伝子構成ではない人間に聞いたって無理だって。後ろの子がこっそりと教えてくれて、悔しかったけど、本当に悔しかったけど、教えてくれたことを答えて、色覚異常なしの判定にされました。家に帰って泣きました。それ以後、色覚異常は自分の中でかなりのコンプレックスでした。今はそうでもないのだけれど、でも「人と自分が見ている色が違う」という事実は頭の中にいつでもあるので、ちょっとひねくれた人間になってるのでしょうけれど。

とまぁ、そんな経験があるものですから、(物事はすべて)「頑張ればどうにかなる」という発想は好きではありません。頑張ったって、私には色覚検査を独りでパスすることは無理。絶対に無理。

「ちょっとやればできる」ということをやらないというのは論外です。そういう人には「頑張れ」という言葉は有用でしょう。自分の才能に気が付いていない人に才能を気付かせるという意味の「頑張れ」もありでしょう。

でも、一生懸命頑張って、それ以上できないくらい頑張って、そんな人にそれ以上「頑張れ」と声をかけることは、言った人の意に反して言われた人を傷つけてしまうものだ、と思います。そんなときは、「頑張ったね」と一言。その言葉で患者さんはまた頑張る気力を持てる、と思います。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私もその神経内科の先生の講演ききたいです。子どもへの告知って難しいですよね。。。。
いぶき
2009/07/08 22:00
そうですね。直接講演聞いてみたいですね。
三余亭
2009/07/11 00:01

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