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zoom RSS 【キュートな数学名作問題集 小島寛之著 ちくまプリマー新書】

<<   作成日時 : 2009/09/11 02:27   >>

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数学の問題も、設定が面白かったり、題材がユニークだったりすれば、解くのが楽しくなるし、自然と解法の本質が頭に入ってきます。「考えて、答えを読んで、なるほどと思う」、そういうこと自体に意義を見いだせるようになります。そんなユニークな問題、変わった問題、現実とリンクした問題、「へぇー」という問題、などなどを集めました。(p8)
とあるように、受験数学とは違う面白い問題が集められています。

数学を好きでない理由はいくつかあるんでしょうけれど、問題が無味乾燥という理由で数学が嫌いなら、本書の序章にある問題を見ていただければちょっと変わるかも。
次のA、B、C、Dは、お化け3匹と人間1人からなります。それぞれの証言から、誰が人間かを当ててください。
A:ぼくを除くと、目の数は6個だよ。
B:ぼくを除くと、目の数は5個だよ。
C:ぼくを除くと、目の数は4個だよ。
D:ぼくを除くと、目の数は3個だよ。

連立方程式を使って解くのですが、問題設定がおもしろいですね。連立方程式を作ってみようという気になるんじゃないかと思います。
他にも(少なくとも私にとっては)解いてみようかなと思わせる問題が多くて、おもしろい。後半の「解法がステキ」な少し歯ごたえのある問題も、高校時代に数学が比較的得意だった私にはおもしろい。まぁ、後半部分については意見が分かれる可能性が高いですが。

問題よりもおもしろかったのがコラム2。
「わからない」原因でもっとも考えられるのが、「教師の説明が悪い」ことであり、次にありそうなのが、「納得のための堀が相当に深い」ことだからだ。(中略)数学で一番陥りやすい「わからん感覚」は、そもそも何のためにそんな概念や操作が必要か、ということだろう。(中略)そこで筆者がお勧めするのは、わからないと感じたら、「地道な積み上げをはしょって先の方を覗き見てしまう」こと。(中略)数学の導入部には、面倒な「概念の定義」や「操作手順の説明」がつきまとうから、たいていここでへこたれる。そんなときは、それをいったんスキップして、先のほうを「読書」してしまうといい。先のほうに行くと、意外にステキで魅惑的な世界が拓けたりする。そこで初めて、その「キュートっぽい世界」が、今の知識ではきちんとは理解できないことを実感する。そして、その原因が、用語の定義や操作の意味が曖昧だからとわかり、その曖昧さを払拭するためには現在厭っている作業が不可欠だと納得できる。(中略)
もう一つのアドバイスとしては、自分の「わかり」がどういうタイプか、を正確に掴むことである。人によって、「わかる」ことが「図形的イメージを持てる」ことであったり、「記号論理で書ける」ことであったり、「何かで喩える」ことであったり、「簡単な例で再現できる」ことであったりする。(以下略)


数学に限らずどんな学問でも当てはまる思うのだけれど、「何のためにこの些細なことが必要か」という疑問を覚える人は多いのだろうと思います。医学で言えば基礎医学での習得すべき知識の多さの前に「何のために」という疑問が出てくるものです。私は社会医学の一分野、当時衛生学として教えられていた分野でそんな疑問を覚えました(衛生学の教官との相性が悪かった、ということが衛生学が嫌いだった一番の原因ですが、そうなると衛生学自体も嫌いになっちゃうものです。教科書もおもしろくなかったし。ただ教える内容は大学ごとで異なるから、他大学の衛生学は面白いかもしれないのですが。)。医者になったあと、衛生学で教わったことが役に立ったかどうか難しいのだけれど、ニュースでBODが出てくると懐かしく見ています。臨床医がBODの値でどうこうするわけではないのだけれど、公衆衛生分野に就職するとこの知識がいるんだろうと思います。その分野で教えているものにはやっぱり理由があるわけです。

「わかり」のタイプというのが面白いですね。私の「わかり」のタイプは、論理(記号とは限らない)と例で再現なんだろうと思います。高校時代に友人から数学の問題の解法を尋ねられて教えたことがあったんだけれど、彼はわかったようなわからないような顔をしていました。「わかり」のタイプが違ったのかもしれません。教えるプロは、教えられる側の「わかり」のタイプの違いに応じて対応できるものなのでしょう。高校生だった私はそこまでの技術は無かったということです。数学とか物理とかは、「わかり」のタイプが理解に影響しそうですね。まぁ「わかる」ってどういうことか、考え出すとわからなくなりますが。

本書は、数学が得意だった人は楽しめると思います。何とか合格点はとっていたけれど好きじゃなかったな、という人も数学を見直すきっかけになると思います。数学と聞くだけで虫酸が走る、というひとはさすがに無理かな。

数学を好きだったけれど数学の道を断念した著者の思いを書いたブログが、それはそれは年を重ねていろんな可能性が無くなった私には重なるところがあって、いたく共感した次第です。
http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20081202/1228226660

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