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zoom RSS 【民主主義という不思議な仕組み 佐々木毅著 ちくまプリマー新書】

<<   作成日時 : 2009/12/12 22:24   >>

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政権交代がおきました。さて、そんなときにこの一冊。政権交代のあった今年ならではのインパクトを受けました。おそらく高校生を対象としている新書ですが、書かれていることは選挙権を持つ人間が踏まえておくべきことなのだろうと思います。

特に「第6章 これからの政治の課題とは」で書かれていた以下の文章は、選挙権を持つ人間は肝に銘じておかなくてはならない、と思います。

税金は大切に効果的に使わなければなりませんが、これからは特に、何にどう使うかについて優先順位をはっきりさせることがますます重要になってきます。例えば、医療に重点を置くのか、それとも年金に重点を置くのか、といった選択も必要になってきます。そのためには、優先順位をはっきり決められるような政治の仕組みを作ることが必要であり、かつてのようにいわゆるボトムアップ的に出てきた諸要求に、ばらばらに応答するような意思決定の仕組み(これを部分最適のやり方と言います)とは訣別しなければなりません。(p152)

小泉元首相が支持されたのは、そのトップダウン的なやり方と「自民党をぶっ壊す」と言い放ったところにある、と私は思っています。旧来の利益団体と結びついた自民党を壊す、ボトムアップ的に出てきた諸要求を実現する政治を壊す、ということを支持したのだと思っています。ここに書かれていることは著者に指摘されるまでもなく、多くの人が思っていたことではなかろうか、と思います。
そうはいっても今自分の置かれている立場を離れて物事を考えるということは大変難しいことです。”仕分け”に対する各界の反応を見てもそうですし、私も自分自身の利益に関するところでは診療報酬や子供手当の行方が大変気になります。しかし、税収が減り、人口減少も止まらない現在、税金をどう有効に使うべきか考えることは重要であろうことは誰も反論しないでしょう。「スパコンよりも教育費を」という意見をどっかで読みましたし、「スパコンは重要」という意見も読みました。優先順位をどうつけるか、難しい問題です。ですが、どうしても優先順位はつけなくてはならない。選挙権を持つ人間が自分の利益を離れて自分の住んでいる国をどうしたいのかを明確に意識し、そのためには多少自分に不利益があってもよいと覚悟できるのかどうか。政党がどうのこうの前に、我々の覚悟が試されているような気がします。

おわりに、で書かれている次の一文も心にとまりました。
政治の場合にも最悪の事態を避けることと最善の状態を実現することを、はっきりと分けて考える必要があります。最善の状態を実現しようということばかりを考えて、最悪の事態に対して無防備になるのは愚かなことです。(p169)

20年ほど前にまだ母校に教養学部があった頃に教養科目で政治学の講義で、講師の先生が「ユートピアは無い」と言ったことを思い出しました。外部と接触のないシステムは無い、というのがその理由だったと記憶しています。この世では自分の理想は実現なんてできないと思って、ちょっとでもましなところがあればそれでよしとしなくてはいけないのでしょう。

その文章に続いて、
政治は一時の興奮などによって左右されてはならないし、非合理な政策は有効性を持たないという冷静な観点を持ち続けることです。独りよがりの、スーパーマンのような話に「いかれない」「騙されない」ためには、政策の合理性、有効性に対する十分な関わりが必要であり、この関わりの強さがなければ長期的な社会の発展は望むことができないと、肝に銘ずることです。従って、政治は感情で動くように見えますが、最後は「頭脳」でする活動であることを決して忘れてはなりません。(p170-171)

私も自分の利益が絡むととたんに頭に血が昇ってしまいますが、政策の合理性と有効性を十分に吟味することを忘れずにいたいと思います。最近じゃ子供手当とか診療報酬とか。
とは言っても政策の合理性・有効性の判断は難しいです。専門家がたくさん出てきてみんな違うことを言うことも多いし。あの政策が駄目だからだ、いや徹底していないからだ、などなど、いろんな意見が出てくるし、どのくらいの時間が経ってから評価するのか明確じゃないし、外的な要因でおかしくなることもたくさんあるし(ドバイショックなど)。そこで難しい難しいと言ってばかりじゃなく、1票を投じる以上、勉強しなくちゃならないと言うことなのでしょう。

最初の方で政治体制の歴史について紹介していますが、高校の世界史や倫理政経などをすませてないと厳しいかも。他に、政治家と世論の関係、不服従による抵抗などが書かれております。

我々と政治の関係をもう一度考えるために、混乱しているこの時期に是非。

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