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zoom RSS 医学部に入学された新入生にお勧めする本

<<   作成日時 : 2010/04/29 10:11   >>

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私が大学医学部に入学したのが平成元年ですから、もう20年以上も前の話になります。そのころと現在では大学医学部で教える内容も大きく変わり、わが母校は教養課程を廃止、さらに医学教育のコアカリキュラムも設定されました。大学入学前の教育過程でいえば、今は悪名高い”ゆとり教育”も、私が大学入学以降の話です。

先日、後輩達と話してびっくりしたのが、「高校で行列を習っていません」「虚数が無くなったのですが、復活しました」と言われたこと。そしたらケーリー・ハミルトンの公式とか知らないのか、三角関数の加法定理とか忘れたときに行列を使わないでどうやって導き出すのだろうとか、いろいろ聞いてしまいました。

必要な時に勉強すればよいという考えもあるのだろうけれど、ある程度いろんなことの知識がないと必要な時に勉強すらできないというのも事実。「必要になった時に勉強すらできない」ということの無いように、いろいろな知識を若いうちに身につけさせる必要があるのだと思って、受験勉強や大学時代を過ごしていました。

学生時代は結構勉強した方だと思います。が、卒業して15年(平成7年卒業)、いろいろと経験した中で「これは学生のうちに知識があった方がよかった(学生のうちに勉強しておいてよかった)」というようなことも経験してきました。医学部では教えないこと、医学部で教わった範囲よりも進んだ知識、などがあった方がよいこともありました。

特に学生時代にある程度の知識を身につけることをお勧めしたいのが、統計学と倫理と科学論。
おそらく統計学は医学部に入学しても教わることになるのだろうと思うのだけれど、医学で用いられる統計は少し進んだ知識が必要となることが多いです。生存分析、ノンパラメトリック検定などについての少し進んだ知識が必要です。入学後1−2年の間に統計学の基礎的なところを学び、公衆衛生(僕らのときはそう呼んだが今は違うかもしれない)で疫学を習う時に医学統計を習うか、あるいは医学統計だけ別個に科目があるか、大学ごとに違うでしょうが、統計学は学生時代にある程度身につけた方がいいです。卒業後論文を読む際に苦労しなくて済みます。
倫理については医学部でも教えるとは思うのだけれど、これは自分でもちょっと勉強しておいた方がよいと思います。倫理に関する問題が発生したときは自分で考えなくちゃいけないのだけれど(例えば人工呼吸器をはずしてよいかどうかとか)、このあたりを自分の独りよがりの理屈ではなく理路整然と説明できなければ後から大変。どう大変かはこちらを参照。
科学論について知っておいた方がよいと思う理由は、代替医療について患者さんから聞かれた時の理論武装として知っておいた方が良いから、です。

そこで今回は医学部新入生への統計学・倫理・科学論についてのお勧め本をいくつか紹介したいと思います。


統計学関連


どれも学生時代に読んだわけではありません。卒業後に知った本です。

「宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ 佐藤俊哉著 岩波科学ライブラリー114」
「生物学を学ぶ人のための統計のはなし 〜君にも出せる有意差〜 粕谷英一著 文一総合出版 」
この2冊は数学が苦手でも大丈夫だと思います。

「Rによる統計解析の基礎 中澤港著 ピアソン・エデュケーション」
「Rによる保健医療データ解析演習 中澤港著 ピアソン・エデュケーション」
「Rによる医療統計学 Peter Dalgaard著 岡田昌史監訳 丸善株式会社」
フリーの統計ソフトRを用いた統計学の教科書。「Rによる統計解析の基礎」か「Rによる医療統計学」のどちらかを学生時代に読んでおけば、卒業後全く苦労しないでしょう。

「臨床医による臨床医のための 本当はやさしい臨床統計 野村英樹・松倉友晴著 中山書店」
ちょっと数式が出てくるので、読めるかどうか判断してからの購入がお勧め。これは卒業してからでもいいかも。

自分では読んでないけれど、マンガでわかる統計学というのも良いかもしれません。

倫理

医の倫理って言葉があって、講義もそういう名前で行われているかもしれません。。応用倫理学の一分野の生命倫理学を意味している時もあれば、医者の患者さんへの向き合い方といった意味で使われることもあります。本来、後者の意味は倫理ではないのだけれど、紹介する本はこの項目にまとめちゃいます。

お勧め本
倫理学

「ここからはじまる倫理 アンソニー・ウエストン著 野矢茂樹・高村夏輝・法野谷俊哉訳 春秋社」
今回紹介するなかで一番のお勧め。これだけはぜひ読んでほしい。社会で起きているいろんな問題に対する見かたが変わると思います。

「動物からの倫理学入門 伊勢田哲治著 名古屋大学出版会」
動物に関する倫理学からの倫理学入門。これもお勧め。

「実践の倫理 ピーター・シンガー著 山内友三郎・塚崎智監訳 昭和堂」
「生と死の倫理 ピーター・シンガー著 樫則章訳 昭和堂」
こんな考え方もある、ということを知れば十分。「動物からの倫理学入門」を読んだ後の方がいいと思う(私は順番が逆だった)。

医師患者関係

「 患者は何でも知っている―EBM時代の医師と患者 (EBMライブラリー)  J.A. ミュア・グレイ (著), 斉尾 武郎 (翻訳), 丁 元鎮, 栗原 千絵子, 平田 智子  中山書店」
「 がん医療におけるコミュニケーション・スキル―悪い知らせをどう伝えるか (単行本) 内富 庸介, 藤森 麻衣子著  医学書院」
このあたりを知っておくと、患者さんへの対応を任せられる研修医になれます。

科学論
「疑似科学と科学の哲学 伊勢田哲治著 名古屋大学出版会」
今回紹介するなかで2番目のお勧め。読みやすい本です。代替医療にも触れられています。
「科学哲学の冒険 戸田山和久著 NHKブックス」
読みやすいです。面白いです。「疑似科学と科学の哲学」と合わせて。
「サイエンス・ウォーズ 金森修著 東京大学出版会」
上記2冊では満足いかない人に。引っ張り出してきてぱらぱらめくったら、どうも全部を読んではいない気がしてきました・・・・・。

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