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zoom RSS 「今後30年で87%の確率で地震が起きる」ことの理解は大変難しいことがよく分かった。

<<   作成日時 : 2011/05/08 06:13   >>

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今回の首相の浜岡原発停止要請の根拠が、「今後30年で87%の確率でマグニチュード8程度の東海地震が起きる」という地震調査委員会の報告らしいのですが、その確率の意味がよく分からなかったのでちょっとネットでググってみた結果のまとめです。

【本題】は後半に。まずは今回の原発停止要請に思ったことを【背景】としてちょっと長めに、まとまりなく。【背景】は読み飛ばしてもらって構いません。最初は停止要請を聞いて「ちょっと待てよ」と思ったのですが、調べてみたら「この時期だし、仕方ないのかな」に変わっちゃいました。なにせ地震の確率は「最高に上がっても100%には達しない」のだそうで。

【背景】
医者という仕事柄、患者さんに「病気が治る可能性は○○%」と話すことはよくあるのです。その意味するところは、「100人同じ病気の人が居たら、治る人はそのうち○○人」ということ。自分が使うから、この「確率」の意味はよく分かります。

インフォームド・コンセントとかセカンド・オピニオンでは、患者さんに情報をきちんと伝えることが大切で、ここで誤解はないようにしたいところ。その情報を元に患者さんが治療法を選択するというのが、最近の医療の流れです。

そういうことを普段からやっている人間からすると、今回菅直人首相が出した浜岡原発の停止要請は唐突すぎる印象を持ちました。根拠を十分に理解して、メリット、デメリットを考えさせて欲しいと思いました。

根拠となった「今後30年で87%の確率で起きる」という報告ですが、その意味がよく分からない自分がいます。だから停止要請の根拠としてその数字を使って良いか納得できておりません。

さらに、普段自分が使っている確率と同じような意味だとして、つまり「仮想的な日本を100個観察して30年後に1度でも地震が起きる日本は87個である」という意味だと解釈しても、そのことが原発を止めることによる影響を考える時間が全く無いくらい緊急を要することなのかどうかが分からない自分がいます。

今後、例えば1年間に地震が起きる可能性はどのくらいなのか、それが認容できるくらい低いのなら(どのくらい低ければよいとするのか、ということは平時から考えておくべきことで、何か起きてから慌てて考えている時点でアウトだと思いますが)、1年間は原発停止の影響を検討しても良いのではないだろうか、と思います。1年じゃなく、半年でも3ヶ月でもいいから、少し影響を考える時間が欲しいのです。原発事故では今のところ死者は出ておりませんが、停電となれば熱射病による死亡も心配だし、病院が機能しなくなって救急患者の死亡率が上昇する心配もあります。そのあたりの影響をどう考えているのか。不安に駆られて死者が増える可能性のある政策をとって良いのかどうか。経済に与える影響もあるでしょう。もちろん、原発事故は周囲に与える影響が多大です。期待される被害(確率×起きたときの被害)を比較することが適切かどうかという議論もあると思います。しかし、停電による影響も無視して良いものとは思えません。それを考える余裕がないくらい急ぐことなのだろうか、と思う自分がいます。

この納得いっていない感じの原因は「今後30年で地震発生の確率が87%」の意味がイマイチよく分かっていないところにあり、今後1年間に地震が発生する確率が計算できないでいることにある、と考えたのです。

というわけで、調べてみました。

【本題】
朝日新聞からです。
原発停止要請の根拠…東海地震「発生確率87%」って?
http://www.asahi.com/national/update/0507/TKY201105060460.html?ref=goo

2011年5月7日7時30分

 政府の地震調査委員会は、浜岡原発直下で発生すると想定される東海地震が、今後30年以内に発生する確率を87%としている。菅首相も原子炉停止の要請の根拠としてあげた。

 東海地震は、駿河湾から九州にかけての海底の溝、南海トラフ沿いで起こる地震のひとつで、西隣に東南海地震、さらに西に南海地震の震源域がある。各地震は100〜150年おきに発生している。だが、東海地震は前回の1854年以降、150年以上経過した。

 過去の周期と、最後の地震からの経過期間を元に地震調査委は04年、30年以内の発生確率を「84%」と公表。その後の時間経過から今年1月現在で「87%」と計算した。ただ、この確率は「参考値」で「いつ起こってもおかしくない」状態と言われ、中央防災会議はエネルギーが「臨界状態まで蓄積している可能性が高い」と指摘した。
(以下略)
(長野剛)


「7年地震が起きなかったら、確率が3%上がった」ということの意味も知りたいところです。

「地震 確率」でググってみました。

まず見つけたblogがこちら。
カクレ理系のやぶにらみ 地震発生確率は意味があるのか
http://tamm.exblog.jp/10167478/

そこからたどって、地震調査研究推進本部地震調査委員会のホームページ 長期的な地震発生確率の評価手法について(平成13年6月8日)
http://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/01b/index.htm

その中の報告書
http://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/01b/chouki020326.pdf

さらに解説
http://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/01b/kaisetsu010607.pdf

読んでもらえれば分かりますが、とても難しい。

理解できたところと言えば、報告書「長期的な地震発生確率の評価手法について」 の図3.1のような計算結果が元になっているから「7年地震が起きなかったら、確率が3%上がった」のだ、と理解できましたました。多分、それで間違いないんじゃないかと。

ただ、この図だと今後1年に起きる確率というのは分からなさそうですね。

27ページ以降に「長期確率評価によって得られる確率の数値の理解に向けて」という項目があり、その中で「確率の数値は,長期確率評価で使用するモデルの性格上,最高に上がっても100%には達しない」とか「発生間隔が300年を超す場合には,50%前後までにしか達しない。また,陸域の断層では,発生間隔が2000年を超す場合には10%前後以下である。即ち,この評価手法が与える確率の数値は頭打ちになるということである。このため,確率の値が10%以下であっても軽視することは適当ではない。」とか書かれていて、これは数字を評価するときに大変大切な前提だと思いました。このことをきちんと伝えないといけないんじゃないかと思います。

ただ、知りたいことは今後1年間に地震が起きる確率。考える時間があるのか無いのか知りたいところ。しかし、この確率は計算できるものではないのかもしれません。ならば、考える時間があまりないことを前提に動くのも仕方のないことかもしれません。報告書を読むと、87%より低い確率であっても地震が起きているところが多いようですから。

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【デタラメにひそむ確率法則 地震発生確率87%の意味するもの 小林道正著 岩波科学ライブラリー】
去年こんなことを書きました。地震発生確率というものがよく分からないままでしたが、そんなモヤモヤを解決してくれそうな副題を持った本が出たではないですが。早速購入しました。 ...続きを見る
三余亭
2012/08/17 01:12

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